臭い

意味が分かると怖い話

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本編

私は昔から特殊な臭いを感じ取れることがある。
それは人の死の臭いだ。
 
どの臭いにも似ていない、鼻の奥をツンと刺激する強い臭い。
その臭いがすると、その人は大体1ヶ月後くらいには亡くなってしまう。
 
私の変わっているところは病気などで市が近い人だけじゃなく、事故や自殺、他殺で亡くなる人の臭いもわかることだ。
どんなに元気そうな人でも、その人からその臭いがすると、1ヶ月後には亡くなってしまう。
 
一時期はなんとか阻止できないか、なんてことを頑張ってみたが、それは運命なのか阻止に成功したことはない。
だから、今ではその臭いがしても放っておくことにしている。
 
だけど、この3週間の間、全くその臭いがしない。
毎日電車に乗る私は1週間の間で少なくても3回くらいはその臭いがする。
それが3週間しないということは初めてだ。
 
もしかしたら、その臭いを嗅ぐ能力が消えたのかもしれない。
 
終わり。

■解説

人は自分から出る臭いには鈍感になる。
つまり、語り部は自分から死の臭いがすることによって、その臭いに鈍感になった。
語り部は近くに亡くなるかもしれない。

 

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