【意味が分かると怖い話】ただいま

意味が分かると怖い話

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■本編

俺はまさに、人生の絶頂だった。

娘が生まれ、事業も成功し、まさに順風満帆だ。

 

ただ、問題があるとするなら、事業が上手くいきすぎて、日々、世界中を飛び回っていてあまり家族と会えないくらいだろうか。

 

そして、今日も飛行機で国をまたいで移動する。

天候は晴れで、事故なんか起こる要素はまるでなかったはずだった。

しかし、俺は今までで運を使い切ってしまったのだろうか。

機体の不具合で、飛行機が墜落してしまった。

 

味わったことのない恐怖。

墜落の瞬間まで、頭の中は家族のことでいっぱいだった。

 

家族の元へ帰りたい。帰れれば、他はどうでもいい。とにかく帰りたい。

それだけを願い続けていた。

 

気付くと、俺はどこかの浜辺に流れ着いていた。

どうやら、俺の運もわずかながら残っていたらしい。

 

しかし、体を強く打ってしまったからなのか、全く体が動かない。

そんなとき、近くを通りかかった子供が大声を上げて走っていく。

しばらくすると、大人を連れて戻ってきてくれる。

俺を助けてくれた男は、俺が飛行機事故に遭ったことを調べ上げてくれた。

 

「私が、家に連れて行ってあげましょう」

 

助かった。体が動かない俺は、この男の献身的な好意に感謝してもしきれない。

車に乗り、家へと向かう。

見慣れた街並みなのに、どこか懐かしい感じがする。

 

そして、ついに俺の家へと着いた。

男はインターフォンを押す。

しばらくすると、初老の女性が家から出て来た。

 

どこかで見たような気がするが、見覚えはない。

すると初老の女性は涙を流して、こう言った。

 

「おかえりなさい。パパ」

 

終わり。

 

■解説

語り部の男は飛行機の事故で亡くなっている。

浜辺に打ち上げられたのは、語り部の頭蓋骨。

子供が声を上げて走って行ったのと、体が動かないというのもそのため。

浜辺に打ち上げられる間に、70年以上経ってしまっていたということになる。

 

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