相合傘

意味が分かると怖い話

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■本編

ある日の深夜のことだった。
何気なく散歩をしていたら、突然、雨が降ってきた。
 
降るなんて思ってなかったから、当然、傘なんて持ってきていない。
それに、ここは田舎なので、コンビニみたいに深夜に開いている店もない。
しかも、今は12月。
雨が雪になるほどではないが、寒い。
濡れて帰れば、確実に風邪を引くだろう。
 
なんとか、廃屋の軒下で雨宿りをしていると、既に女の人が同じく雨宿りをしていた。
 
「いやあ、突然、雨が降るなんて、お互いついてないですね」
 
俺は何となくその女の人に話しかけてみた。
すると、女の人はこちらを見て、ほほ笑んだ。
 
「私、傘を持っているので、一緒に入りませんか?」
 
女の人はそう言うと、持っていた傘を広げた。
 
「いいんですか?」
「困ったときはお互い様ですよ」
 
俺はその言葉に甘えて、入れてもらうことにした。
 
その女の人と相合傘をしながら、俺の家の方まで進んでいく。
その道中、何かと話しかけても、女の人は返事をしてくれなかった。
 
気まずさもあり、俺は途中で「ここまででいいです」と言って、そこから走って帰ろうとする。
だが、女の人は「家まで送りますよ」と言った。
 
家まではもう少し。
せっかくそこまで言ってくれたのならと思い、俺はそのまま家まで送ってもらった。
 
家の前についたとき、その女の人は「また会えるといいですね」とほほ笑み、闇に溶け込むようにして行ってしまった。
 
次の日。
俺は風邪を引いて寝込んでしまった。
 
昨日の雨でずぶ濡れになってしまったからだ。
 
終わり。

■解説

女の人は傘を持っているのに、雨宿りをしていることに違和感がある。
そして、語り部はずっと相合傘をしているのに、濡れてしまったというのも変である。
つまり、傘を持った女の人は幽霊で、語り部は雨を避けることができなかった。
最後に女の人が言った「また会えるといいですね」と言う言葉は、風邪をこじらせて、死んで、また会えたらいいという意味だったのかもしれない。

 

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