本編
その女性は子煩悩だった。
たった一人の愛娘は目に入れても痛くないほど、可愛がっていた。
自分の命よりも娘の方が大切で、なにをおいても娘の方を優先するほどだ。
仮に娘が心臓病になり、女性の心臓を捧げれば助かると言われれば、躊躇なく捧げるだろう。
女性にとって娘が世界で一番大切な人だったのだ。
しかし、娘が17歳になったときだった。
娘は何者かによって殺されてしまう。
女性は気が狂いそうなほどの憎悪に包まれる。
犯人の手がかりは少なく、警察も犯人特定に時間がかかっていた。
だが、女性は警察に頼ることなく、自力で犯人を見つけ出す。
犯人は娘の元彼氏で、単独で犯行を行ったことがわかる。
女性は娘の復讐として犯人を殺した。
虚しい達成感を覚えながらも、女性はさらに復讐するためにビルの屋上へと向かう。
そして、女性は復讐を遂げた。
終わり。
■解説
復讐の相手は自分。
つまり、女性は娘を守れなかった自分に対して復讐するために、ビルの屋上から飛び降りた。