■本編
それはまさに緊急事態だった。
俺はデパート内で強烈な尿意に襲われた。
すぐにトイレに向かおうとしたが、トイレは1階と3階にしかない。
今は2階。
駆け上がるよりも駆け下りる方が膀胱に良い気がして、1階に駆け下りる。
そしてすぐにトイレのマークの看板に沿って進む。
限界は近い。
ギリギリのところでトイレの入り口に入る。
が、しかし。
なんと人が並んでいる。
小便器に数人が列を作っていた。
万事休す。
だが、そのとき、個室が端の1つだけ空いていた。
大ではないが、今は緊急事態。
小でも個室を使わせてもらおう。
俺は列を外れ、個室のドアを開いた。
終わり。
■解説
小便器に列が出来ている中で、果たして個室が1つだけ空いているなんてことがあるだろうか。
そして、空いていたのは端である。
おそらくそこは用具入れの可能性が高い。
ギリギリ状態だった語り部はこの後……。