本編
ある日の休日。
友達からLINEで連絡が来た。
久しぶりに飲まないかという誘いだった。
昔はよく飲みに誘われたが、ここ2年間は気を利かせてか、誘われることはなくなっていた。
俺はそろそろ気持ちに区切りをつけないといけないと思って、ОKと返す。
そして、そのとき、2年前に別れた彼女のLINEのトークが目についた。
何気なく、『元気にしてるか?』と送ってしまった。
するとすぐに既読になる。
俺は慌ててクローゼットの奥に仕舞い込んだスマホを取り出す。
見てみると単にLINEが立ち上がっていて、俺とのトーク画面が開きっぱなしになっていただけだった。
なんだよ、ビックリしたじゃないか。
てっきり、彼女が天国から見てくれたのかと思ったのに。
でも、まあ、こういう偶然も悪くないものだ。
終わり。
■解説
2年前に彼女と別れたというのは、死に別れたということである。
彼女の死に落ち込んでいたのを、友達は励まそうと飲みに誘っていたが、そのうち気を利かせた誘わなくなった。
語り部はLINEで既読になったのは、スマホの画面でLINEが開きっぱなしになっていることの偶然だと思っている。
しかし、クローゼットの奥に仕舞っていた状態で、2年も経っているのに、バッテリーが切れていないのはおかしい。
つまり充電もしていないのにスマホが起動することが異常である。
もしかすると、本当に彼女が天国からLINEを見ていたのかもしれない。

