本編
スマホは本当に便利だ。
その中でも手放せないのはアラーム機能だ。
毎日の目覚ましで使うのはもちろん、予定日に鳴るように設定できるのが本当に助かる。
彼女の誕生日や付き合った記念など、覚えてられない。
だから、予め、スマホのカレンダーに登録しておいて、前日にアラームを鳴らすようにしているのだ。
アラームのおかげで、記念日を忘れたことはない。
付き合い始めたときは、記念日を忘れたときは、大げんかになって別れ話になったこともあった。
絶対にスマホは手放せない。
なんて思ってたら、スマホを水没させてしまった。
データも全部消えてしまったので、どうせなら会社ごと変えた。
まずは彼女に番号が変わったことを教え、友達にも連絡する。
中には番号が変わってしまったことで、電話に出てくれないやつもいたけど、どうせそれほど仲がよかったわけじゃないので、ちょうどよかったかもしれない。
ただ、自分で番号を覚えなおさなきゃならなかったのはちょっと面倒だった。
どうしても、前の番号の記憶が強くて、聞かれたときに前の番号を言ってしまいそうになる。
番号を変えてしまうと、何かと面倒だと思い知った。
今度、携帯になにかあったときは、絶対に番号は変えないようにしよう。
そんなことを考えてたら、アラームが鳴った。
明日は彼女の誕生日だ。
危ない危ない。
完全に忘れてた。
俺は慌てて、彼女の誕生日プレゼントを買いに行った。
終わり。
■解説
語り部は携帯を変えている。
そして、データも消えていることからアラーム設定も引き継いでいないはず。
それなのに、彼女の誕生日にアラームが鳴るのはおかしい。