イタズラ好きの弟

意味が分かると怖い話

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本編

俺の弟は近所でも有名なイタズラ好きだ。
 
近所のおじさんのカツラにワカメを混ぜたり、配達物が家に間違って届いたと嘘をついて、カエルが入った箱を渡したり、干してある布団に水鉄砲で水をかけておねしょしたように見せかけたりと、くだらないイタズラばかりしている。
 
最初は周りも苦笑いをして、子供のすることと目を瞑っていたが、最近は結構、凝った悪戯をするようになった。
3日前も通り魔に刺されたと言って、血を流しながら帰ってきた。
 
血は家のケチャップを使い切ったのと、服を汚したことを母さんに本気で怒られていた。
 
ケチャップなんてベタだと思うけど、実際、見ると結構、騙されるものだ。
そもそも、あんまり血自体を見ることがないし。
 
今日も何かイタズラを仕込んでいるのか、そわそわしながら部屋を出たり入ったりしている。
そこで俺は弟が部屋から出たタイミングで、弟の部屋に入ってみる。
すると、机の上にモデルガンが置いてあった。
 
今回はこれを使ってイタズラする気か。
 
俺はイタズラでどっかに隠してやろうと思って、モデルガンを手に取った。
なんか妙に重いモデルガンだった。
子供の頃に見たオモチャの銃とは全然違う。
 
そこで、俺は窓を開けて庭にいる弟に向けて撃ってみた。
 
パンというあっさりした音が響く。
すると弟の背中にべったりと血のりが着いた。
倒れる弟。
 
あいつ、ちゃんと血のりまで用意してたのか。
凄いな。
 
俺は弟のイタズラを先に使ってやったことに満足して、銃を置いて部屋を出た。
 
それから3時間後。
母さんが、晩飯ができたと呼びに来た。
 
今日の晩御飯はオムレツだ。
 
俺はケチャップをたっぷりつけて食べるのが好きなのだ。
ケチャップを袋から開けて、たっぷりとケチャップを掛ける。
かけ過ぎて母さんに怒られたくらいだ。
 
それにしても弟がまだ来ない。
早く食べたいのに、母さんに呼んで来いと言われた。
 
はあ、面倒くさいなぁ、もう。
 
終わり。

■解説

ケチャップを袋から開けたということは、今までは開いていなかったということである。
ということは、弟の血のりにはケチャップを使っていないということになる。
そして、弟は呼ばれたのにやって来ない。
 
もしかすると語り部が撃ったのはモデルガンではなく本物の銃だったのかもしれない。
(つまりは血のりではなく本物の血だった)

 

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