本編
夏が終わろうとしている9月の頃。
俺は一人で海を眺めに行った。
海には人がいなかった。
と思っていたら、女性の悲鳴が聞こえてくる。
その声がしたところに行くと、女性が海の中で藻掻きながら、必死に助けてと叫んでいた。
すぐに海に飛び込んで、女性の元に行く。
女性は俺にしがみつき、ずっと助けてと繰り返し、暴れている。
かなり混乱しているようだ。
俺は女性を一旦、沈めて後ろから羽交い絞めにして、救助した。
沖についた女性は助かったのに、泣き叫んでいた。
終わり。
■解説
女性が言っていた「助けて」の言葉は自分ではなく、もう一人に対してだった。
女性は誰かを助けようとして海に飛び込んでいた。
つまり女性が助けようとした人は溺れてしまったことになる。