架空請求

意味が分かると怖い話

〈意味が分かると怖い話一覧へ〉

〈前の話へ:闇バイト〉  〈次の話へ:深夜のホラーゲーム〉

本編

学生の頃にさ、ちょっとした好奇心で架空請求の詐欺をやり始めたんだよね。
 
そしたら、もう、ぼろ儲けだったわけ。
1日に数万。下手したら10数万儲けたときがあったんだよね。
 
そんなに稼げちゃったらさ、もう金銭感覚マヒするよ。
時給1000円?
そんなの馬鹿らしくて働く気なくなっちゃうって。
 
でもさ、簡単に稼げるってわけじゃないんだ。
適当にやっても、無視されるだけ。
 
だから、色々考える必要があるんだよね。
相手がどうやったら、「ヤバい、払わなくっちゃ」ってなるかを考えるんだよ。
 
これが面白くってさ。
上手くいったときなんか、もう、興奮で脳汁出っ放し!
やめられないよね。
 
そりゃ、もう、やれることはなんでも試したね。
今、流行ってるものを利用したり、公的機関を利用したりとか。
 
でもやっぱり、公的機関を利用するのは結構、良い手だよ。
割と引っかかる。
 
まあ、流行ってすぐに廃れちゃうんだけどね。
みんな、その方法をやり過ぎてひっかる人がいなくなるんだよ。
 
だから、俺たちみたいなやつは常に色々考えるわけ。
稼ぐためにね。
 
どう? 結構、苦労してるだろ?
 
そういえばさ、この前、俺のところにも来たよ。
架空請求が。
 
なんだろ。
同業者かと思うと笑っちゃうよね。
 
しかもさ、その架空請求の方法が裁判所を名前を使ったやつ。
 
あー、昔、流行ったなぁーって懐かしくなったね。
 
俺はそのとき、よくわからなくて、手を出さなかったんだけど、結構、エグい方法だってことは聞いたことがある。
 
でも、あっちもまさか、同業者に送ったとは思ってないだろうな。
 
改めて見るとバレバレだよね。
笑っちゃうよ。
普通はこんなの引っかからないって。
 
やっぱり、引っかかる方が悪いよな。
 
さてと。
これはゴミ箱に捨てて、無視無視、っと。
 
さあ、また今日もバリバリ稼ぐぞー!
 
 
 
ってさ。
そのときは思ってたんだよ。
 
こんなの引っかからないぞって。
 
でも、俺は後悔することになった。
 
あーあ。
あのときに戻りたいなぁ。
 
終わり。

■解説

裁判を使った詐欺では、少額訴訟を利用した手口がある。
それは、架空請求であるにも関わらず、本当に訴えられ、裁判所から呼び出しがかかるというものだ。
それを放置してしまうと、架空請求であったとしても判決が下され、強制執行が行われてしまう。
今回、語り部はその詐欺にあったのだと考えられる。
語り部は手慣れいるだけに、偽物は無視すればいいという先入観により、裁判所からの呼び出しを無視してしまったのだ。

 

〈意味が分かると怖い話一覧へ〉

〈前の話へ:闇バイト〉  〈次の話へ:深夜のホラーゲーム〉