■本編
トムはある日、母親に本屋に連れて行ってもらった。
母親から1冊だけ好きな絵本を買っていいと言われて、トムは喜んで絵本を選んでいた。
選んでいる中で、1冊の絵本がトムの気を引いた。
その絵本の主人公の子供が、お父さんがいなくて、いつも虐められているという部分で、自分と同じだと思ったからだ。
その主人公の子供が黒猫に連れられて、天国に行くという内容も、トムが気に入ったところだった。
母親にその本を買ってもらい、家に帰る途中に、おばあさんが車に轢かれるという場面に遭遇した。
怖いなぁと思いながら、家に帰り、夕食を食べてお風呂に入り、寝る時間になった。
トムはさっそく、今日、買ってもらった絵本を読む。
お父さんがいない主人公はいつも虐められていた。
でも、その主人公はお母さんを心配させたくなくて、そのことを言えずにいた。
そんなある日、母親がある本を買ってくれた。
そして、家に帰る途中に、おばあさんが倒れて死んでしまう。
そこまで読んだとき、本屋ではこんな場面なんてなかったのに、と思いながらトムは絵本を閉じた。
すると、どこからか猫の鳴き声が聞こえる。
気づくと、いつの間にかトムの隣に黒猫がチョコンと座っていた。
終わり。
■解説
その絵本はトムのことが描かれている不思議な本。
本屋で読んだとき、トムは、この絵本のラストで主人公が黒猫に天国に連れて行ってくれると書いてあった。
つまり、この後、トムは黒猫によって天国に連れて行かれてしまう。