■本編
今、横にいる男が殺人犯だと、私は知っている。
こいつは周りには上手く隠していて、未だに警察に捕まっていない。
あるとき、私はこいつにそっと耳打ちする。
「あんた、殺人を犯したわよね?」
だがこいつは眉一つ動かさない。
本当に面の皮が厚い、ムカつく野郎だ。
早く捕まればいいのに。
終わり。
■解説
『横にいる男』と言っていることから、語り部はこの男と親しくないと思われる。
それなのに、『周りには上手く隠している』ことを知っている。
そして、語り部の言葉に全く反応しない男。
つまり、語り部は幽霊で、この男に殺されたのである。