本編
その国は内乱が続いていた。
政府軍と革命軍で争いが5年以上も続いている。
最初は政府軍が断然有利だったが、次第に革命軍が盛り返して来ていた。
男は政府軍に所属し、国のためと思い兵に志願して戦っている。
そんなあるとき、軍の上層部から兵士の中に敵と内通している者がいるという報告を受けた。
男は上層部に信頼があり、身元もしっかりと調べ上げられたうえで、内通している裏切者を探し出すように命令されていた。
そこで男は情報を巧みに操作し、ある作戦での撤退の場所に関して偽の情報を流した。
裏切者であれば、A地点ではなくB地点に向かうはずである。
そして、男は作戦を実行に移す。
部隊に撤退するように命令が下ったという。
部隊の隊員たちは一斉に、撤退場所へと向かっていく。
男は注意深く隊員たちを見る。
「さて、誰が隊列を乱すのか?」
すると男は他の隊員たちから「隊列を乱すな」と注意された。
終わり。
■解説
他の隊員から「隊列を乱すな」と注意されたということは、隊列を乱したのは男だけだということになる。
つまり、男以外全員が裏切者だということになるのだ。