インスタ映え

意味が分かると怖い話

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本編

最近は写真一つ撮るにしても映えを考えないといけない。
ただ、写真を撮ってアップするだけじゃ、全然いいねが付かないのだ。
 
外で何か食べるときもそう。
美味しそうとか、何が食べたいかじゃなくて、映える料理かどうかで店を決める。
本当に食べたいものがあるときは、一人でこっそりと行く。
その時は写真を撮らない。
 
じゃないと、そういう店にも行ってると思われるからだ。
 
人の注目を集めるためには、アカウント全体をプロデュースしないといけない。
発信する写真は全部、映えてないとダメなのだ。
一回でも変な写真をアップしようものなら、フォロワーが減ってしまったりする。
 
そして、ただ単に映えるってだけで綺麗なものや可愛い物ばかりだと飽きられてしまう。
だから、たまにはちょっと、ドキッとするような写真が必要だ。
 
中にはちょっとエッチなものをアップする人がいるけど、それをやってしまうと女性からは嫌われる。
なので、私の場合は、人にお見せできるプロポーションでもないので別方向でアプローチしないとならない。
 
じゃあどうするかというと、ちょっと危険な場所に行って撮影するのだ。
 
凄い高いところとか、そういう危険な場所。
時々、そういうのをアップすると、フォロワーが増えるのだ。
 
でも、まあ、同じことを考える人もいるので、その中でどれだけ危険な場所を探すか勝負にもなったりしている。
 
中にはその写真を撮るために迷惑行為をしている人も多いと聞いた。
でも、私は、それはダメだと思う。
フェアじゃないし、人に迷惑をかけてまで撮ることじゃないと思うからだ。
 
だから私はいつも人に迷惑がかからなさそうな場所を探して写真を撮っている。
で、それに欠かせないのが自撮り棒だ。
友達に付き合ってもらうわけにもいかないし、お友達も同じ風景を撮ったら、オリジナリティがなくなってしまう。
 
そういうことがあり、私はいつでもそういう場所を探して色々な場所へと行っている。
なので、いつも自撮り棒を持ち歩いているのだ。
 
今日も電車に乗っていると、遠くに凄い崖が見えた。
さっそく、電車を降りて、その崖へと向かう。
 
さすがにこんなところは誰も見つけてないだろう。
調べてみたけど、ここの風景の写真はアップされていなかった。
 
私はそう確信して、自撮り棒を手に、崖のギリギリまで進む。
そして、自撮り棒にスマホをセットして写真を写す。
 
と、そのとき、足元に自撮り棒が捨ててあるのを見つけた。
スマホまで付いてる。
こんなところに捨ててくなんて。
 
もう、なんでこんなマナー違反するかな。
 
私は仕方なく、拾っておくことにした。
 
終わり。

■解説

自撮り棒だけならまだしも、スマホがついているのはおかしい。
自撮りを撮るくらいなのだから、すぐに写りを確認するはずである。
では、なぜ、スマホが付いたままで自撮り棒が落ちているのか。
この自撮り棒の持ち主は崖から落ちてしまった可能性が高い。

 

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