秘湯

意味が分かると怖い話

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本編

最近、俺は温泉にハマっている。
しかも、無料で入れる、天然の温泉を回るっていうのが俺の中の流行りだ。
 
そういう温泉って、混浴が多いし。
まあ、水着で入るんだけど。
 
でも、その場で出会った女の子たちと温泉の中で話すのって、興奮するんだよ。
 
夏休みなんか、一人で全国の温泉巡りをするのだ。
 
今日行く温泉は変わった温泉で、海の近くにあって、満ち潮のときにしか入れないところらしい。
 
それにしても楽しみだ。
海を眺めながら風呂に浸かるなんて最高だろ。
 
それなら女の子がいなくても、十分だ。
逆に一人で入りたいかも。
 
朝から出発して、到着は夕方になってしまった。
できればもう少し早い時間に来たかったんだが仕方ない。
青い空と一体化した海を見ながら温泉に浸かりたかったんだが……。
 
それでもせっかく来たんだから、暗くなる前に入っておきたい。
足早に脱衣室に行き、裸になって温泉へと向かう。
 
するとどこかのじいさんがやってきた。
 
「げっ! じいさんと一緒かよ」
 
そう思ってげんなりしていたが、じいさんは温泉に漬けていた卵を回収して行ってしまった。
どうやら温泉卵を作ってたみたいだ。
 
よかった。
これで一人で入れる。
 
俺は周りに誰もいなかったので、思い切り、勢いよく温泉へ飛び込んだ。
 
終わり。

■解説

この温泉は満潮でしか入れないと語り部は言っている。
それは、源泉は熱く、海水が入ることで程よい温度になると考えられる。
そして、おじいさんは『温泉卵』を作っていた。
つまり、現在は満潮ではなく、温泉の温度は70℃前後だと考えられる。
そんな温泉に語り部は勢いよく飛び込んでいる。

 

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