【意味が分かると怖い話】田舎の夜

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■本編

大学の夏休み。
親がうるさいので田舎の実家に帰ることにした。
 
何もない田舎。
コンビニさえも、車で20分は走らせないといけない。
さらに夜は蚊が多くて、虫刺されも凄くて最悪だった。
 
そんなイライラを解消するのと、本当に暇だったこともあり、ゲームばかりしてすごしていた。
 
ゲームにも飽きて、ふと散歩していると、中学時代の同級生と会った。
その子は、当時、実は片思いしていた女の子だ。
 
久しぶりと言うことで話が弾み、色々とお互いのことを語り合った。
その子は一度は都会に出たらしいが、匂いに敏感になる変な病気になってしまい、耐え切れなくて実家に戻って来たらしい。
 
戻ってきて大分症状は落ち着いたが、今でも匂いがきついものはダメらしい。
なんと、俺が虫刺されで塗っている薬も、ちょっと苦手だと顔を少しだけしかめていた。
 
その日はもう遅い時間になったので、帰るということになったが、その子が「明日も会える?」と聞いてきた。
 
これはチャンスだった。
ただ、明後日には帰ってしまうので実質明日がラストチャンスだ。
 
明日は、告白して付き合うくらいまで持っていけるかもと考えた。
離れているからこそ、なあなあで付き合ってもらえるかもしれない。
 
その日の夜は気合いを入れてデートプランを練った。
なにもない田舎だが、それでも二人で行けそうな場所をとことん調べた。
 
そして布団の中で何度もシミュレーションを繰り返す。
だが、不意に耳元でプーンという蚊の飛ぶ音が聞こえた。
 
あの子は虫刺されの薬の匂いが苦手と言っていた。
蚊に刺されるわけにはいかない。
 
母親に虫よけを出して欲しいというと、蚊取り線香しかないと言われた。
古典的だなぁと思いながら、仕方なく、ガンガン蚊取り線香を焚いて寝ることにした。
 
終わり。

■解説

語り部は蚊に刺されず、薬を塗ることはないが蚊取り線香の匂いが染みついているので、女の子に会ってももらえなくなる。

 

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