本編
多数決。
それはよく、民主主義として、合理的な方法として好まれて使われる採決方法だ。
人数が多い方の意見を優先するという方法。
だけど、それは逆に言うと少数意見を黙殺することを意味する。
そして、俺はよく人から変わった考えだと言われる。
それはつまり少数派ということだ。
だから、俺はこの多数決においては俺の意見が採用されたことは一度もない。
俺の意見はずっと黙殺され続けてきた。
それはある意味しかたないと思っていた。
だが、そんなある日。
俺はある場所に招集された。
なんでも重要なルールを決める場なのだとか。
そして、そのルールというのは参加者の意見によって決められるのだという。
その採決方法とはやはり多数決だった。
今回は俺の命に係わることだから、諦めるわけにはいかない。
でも、俺の意見は全くと言っていいほど聞いてくれない。
というより、誰一人として同じ意見のやつがいなかった。
採決日は5日後。
俺はなんとかみんなの同意を得ようと右往左往した。
粘り強く説得もした。
だが、誰も俺の意見なんかに賛成してくれない。
それでも俺は諦めるわけにはいかなかった。
5日後。
採決が行われた。
そして、俺の意見が採用された。
終わり。
■解説
採決の方法は多数決。
つまり語り部の意見が一番多くなればいい。
語り部は他の参加者を皆殺しにした。