【洒落怖】ふるさと納税

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数年前からふるさと納税をやり始めた。
始める前は、面倒くさいと敬遠してたけど、いざやってみるともっと早くにやればよかったと思うほどだ。

税金なんて何もしなくても勝手に取られる。
それを、地域を設定するだけで返礼品をもらえるのだ。
どうせ払うなら、見返りがあるほうがいいに決まっている。

それで、いつも何をもらうかというと、やっぱり肉だ。
いつもだと手が出ないような良いお肉を頼んでいる。

ステーキ、しゃぶしゃぶ、すき焼き。
色々と作るのが1年の中で1番の楽しみだ。

今は物価高で、なかなか外食もいけない世の中だし、こういうときくらいにしか贅沢ができない。

ただ、いつも同じ肉というのも、さすがに飽きてくる。
返礼品が肉のところを絞って、そこからよく見ないで決める。

実際に来てみてからのお楽しみというやつだ。

今回はどんなお肉が届くかわくわくしながら待つ。
日時指定をしないのもポイントだ。

不意に届くのがサプライズ感がある。

これもテレワークだからできる技だ。
いつ来ても、受け取れる。

いつものように家で、ゆったりと仕事をしていたらチャイムが鳴った。

お、来たかな?

出てみると予想通り、届いたのは肉だった。

しかも今回は結構重たい。

その辺も見ないで決めたから、どんな肉がどんな量で来るかも知らなかった。

結構な量ってことは、あまり良くない、安い肉の可能性が高い。
でも、それもサプライズの一環だ。
味はそこそこでも、肉は肉。
肉好きの俺としては、十分楽しめる。

その日はステーキにしてみた。

ラムみたいに癖のある肉なら、どんな料理にするかも考えないとならない。
そういう意味ではステーキが一番、味がわかりやすい。
だから、タレじゃなくて、ワサビと醤油で食べる。

一口食べてみる。

すごく柔らかい。
そして、すごく美味しい。

びっくりした。
まさか、こんなおいしい肉が届くなんて。

それにしても、なんの肉なんだろう?
これまで、いろいろな種類のお肉を食べてきたけど、そのどれでもないような気がする。

発泡スチロールにドンと肉が入っていただけで、ラベルも何もない。
長い黒い毛が何本か落ちてたけど、見たことない毛だ。
豚でも牛でもなそうだし、ラムだったら白いはず。

納税した自治体のページを見ればわかるけど、それもなんだか面倒くさい。
とにかくおいしいなら、何も問題ない。

結構な量があったが、結局、2日間でペロリと食べてしまった。

いや、本当においしかった。
来年も同じ自治体にしよう。

どこの自治体かを調べようとしたときだった。
BGM代わりにつけていたテレビから、ニュースが流れてくる。

人気コロッケ店の店主が逮捕された、というものだ。

偽装か何かかと思っていたら、どうやら殺人だった。
すでに3人も殺害しているらしい。
しかも、死体は骨しか見つかってないみたいだ。
ほかの部位を見つける作業がかなり難航していると、ニュースのアナウンサーが話している。

なんとも物騒な話だ。

そんなことを考えているとチャイムが鳴る。

出てみると、配達員が立っていた。

なんか買ったっけ?

俺が戸惑っていると、後ろから2人の警察官が出てきた。

「これ、調べさせてもらってもいいですか?」

俺宛の郵便物を調べたいらしい。

よくわからなかったけど、変なものは買った覚えはないし、拒否するとかえって怪しまれる。
だから、俺はどうぞと答えた。

すると警察官は箱を開けて、中身を、機械か何かを使って調べていた。
それから5分くらいすると、警察官はぺこりと頭を下げた。

「すみません。問題ありませんでした」

そう言って、俺に郵便物を返してくれた。
俺は郵便物を抱えて、キッチンに向かう。

俺に届いたのは、ふるさと納税の返礼品の、お肉だった。