【洒落怖】次は、あなたの番です

洒落にならない怖い話

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昨日、職場の先輩から悩みがあると相談された。
俺の2つ上の先輩で、入社当時からずっとお世話になってきた。

改めて考えると、もう10年になる。

先輩とはお昼や、時々飲みに行ったりするくらいの仲で、休日に一緒にどこかに行くというほどではない。
とはいえ、お世話になった先輩の悩みを無視するのはあり得ない。

最悪、お金の問題でも、100万くらいなら出そうと覚悟したくらいだ。

でも、先輩の悩みというのはお金の問題ではなく、家庭の問題だった。
先輩は5年前に結婚している。
結婚式には、友人枠として呼ばれていた。

子供はいないみたいで、奥さんと二人暮らしなのだという。
その奥さんが、最近、変だと先輩は言う。

「どこがってわけじゃないんだけど、なんか変なんだよ」

はっきりとここが変と言えるわけではないらしい。
何となく変な感じがするのだという。

「喧嘩しているわけでも、機嫌が悪いわけでもない。逆にいつもより、笑顔が多いくらいだ」

ただ、話していると違和感があるのだという。

「時々、話していると、間が空くときがある気がする」

それは昔の話をしているときが多いらしい。
普通に話していると、突然、2、3秒ほど黙ってしまうときがあるみたいだ。

「行動とかも別に変じゃないんだ。昔からの鼻の頭を触る癖もするし」

でも、やはり違和感があるらしい。

「不自然な感じがするんだよな。まるでマネしてるみたいな感じ」

そして、先輩はポツリとこう言った。

「まるで別人になったみたいだ」

もちろん、奥さんには双子の姉妹がいるわけではない。
いくら整形したとしても、そんなにそっくりになれるはずはない。

さらに、先輩と奥さんは幼馴染らしく、付き合いは30年以上になる。
そんな先輩でも見分けがつかないくらいに化けられるなんて、アニメのようなことがあるわけがない。

「とにかく、一度、会ってみてくれないか?」

先輩の奥さんには、結婚式に会っただけだ。
そんな俺が違いがわかるわけがない。
先輩にもわからない差を感じることなんてできない。

ただ、それは先輩もわかっているようで、見て欲しいのはそこじゃないのだという。

「なんかさ、雰囲気的に『人間じゃない』感じがするんだよ。それを見て欲しい」

正直、それを聞いたとき、先輩は精神的に病んでいるんじゃないかと思った。
悩み過ぎて、思考が変になってしまったのではないだろうか。

だが、そんなことを言えるわけでもなく、俺は先輩の頼みを受けることにした。

休日の朝に、先輩の家にお呼ばれする。

「こんにちは。いつも主人がお世話になっています」

奥さんは相変わらずキレイで、俺は不謹慎ながら少しドキドキしてしまった。

リビングで先輩と雑談をしながら、奥さんの様子を盗み見る。
特に変なところはない。
逆に先輩の方がいつもよりテンションが高くて違和感があるくらいだ。

その日は結局、先輩の家で晩御飯までごちそうになってしまった。
機嫌のいい先輩はよく笑い、奥さんもそれにつられるかのように笑う。

笑顔の絶えない、いい夫婦に見える。
本当は悩みなんて嘘で、俺に奥さんとの仲を自慢したかっただけなのかもしれない。

そして、帰り際に、俺は先輩に言った。

「別に奥さん、変じゃなかったですよ」

すると先輩は2秒ほど黙った後、笑顔でこう返した。

「ごめんごめん。俺の気のせいだった。入れ替わりなんてあるわけないからな」

なにはともあれ、先輩が元気になってくれたのは嬉しい。
俺は安心して、家に帰った。

けど、その次の日からだと思う。

なんか、先輩が変なんだ。
言動も行動も変わりはない。

でも、なんか違和感がある。

俺はその日以来、先輩から距離を置いている。