珍しいかどうかわからないが、小学校のときのクラスメイトと、未だに交流がある。
2年に1回は同窓会があって、それにはほぼ全員が参加する。
それは小学校を卒業してから30年が経った今でも変わらない。
同窓会のお知らせは半年前くらいには来るので、みんな、その日に向けて調整しているのだという。
そして、今年も同窓会のハガキが来た。
いつもはどこかのホテルの会場を貸し切ってやるのだが、今回はなんと母校である小学校でやるらしい。
というのも、母校の小学校はこの少子化の波に飲まれて、3年前に廃校になり、今年、取り壊しが決まったのだという。
そこで、取り壊される前に、懐かしの教室で、みんなで集まろうということになったのだ。
30年ぶりの母校。
それは今までの、どんな高級ホテルのときよりもワクワクする。
指折り数えながら過ごし、ついに同窓会の当日がやってきた。
学校に到着すると、既に廃校になっているせいか、随分と校舎の老朽化が進んでいるように見える。
取り壊しをするくらいなのだから当然かもしれないのだが。
そんな古い校舎の中で、一つだけ明かりがついている教室があった。
同窓会の会場となる、俺たちの教室だ。
明かりに導かれるようにして、教室の前に立ち、ドアを開ける。
目に飛び込んでくる教室の風景は、30年前の記憶を一気に呼び起こす。
本当に懐かしい。
当時はどこの席に座っていたかも、思い出せた。
教室には既に3人来ていて、その3人が想い出話に花を咲かせている。
そして、続々とクラスのみんながやってきた。
思い出の場所で、クラスメイトと会って話すと、テンションが上がっていく。
それはみんなも同じようで、教室内は大盛り上がりだ。
そんな中、Sが黒板を指さして、首を傾げた。
「Kの名前が無くないか?」
黒板にはクラスメイトの名前が書かれている。
当時の出席番号順だ。
最初、見たときはTの粋な計らいかと思って、特に気にはしていなかった。
だが、言われてみると、確かにKの名前がない。
すると、Tが複雑そうな表情を浮かべて、こう言った。
「実はKは去年、亡くなったんだ。事故で」
さっきまでの盛り上がりが嘘だったかのように、一気に教室内が静まる。
当たり前だが、教室内にKはいない。
そして、もう一度、黒板を見てみると、名前がないのはKだけではなかった。
クラス全員で32人いるのに、黒板に書いてある名前は27人分しかない。
みんなが不思議がっている中、Tはさらに気まずそうに言葉を続ける。
「この黒板には今回の参加者しか書いてないんだ。欠席者の名前は外してある」
出席名簿みたいな感覚で書いたらしいのだが、返って不謹慎っぽくなってしまった。
どうせなら、クラス全員の名前を書くべきだったと謝罪するT。
暗くなる教室の雰囲気を吹き飛ばすかのように、Sが笑いながらこう言った。
「もしかしたら、Kたちも来てるかもしれないだろ。俺たちに見えないだけでさ」
そして、SはKと俺の名前を黒板に書いた。

