洗濯屋

意味が分かると怖い話

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本編

その洗濯屋に落とせない汚れはなかった。
服に付いたシミや何十年も掃除していなかった壁の汚れはもちろん、血や指紋などの犯罪にかかわるものも綺麗にする。
中でも依頼が多いのは、お金に関する汚れの洗浄だ。
いわゆる、マネーロンダリングである。
 
そして、なによりも重宝されたのが、犯罪歴さえも綺麗にすることだ。
 
多くの犯罪者が多額の資金をもって、洗濯屋に駆け込んでくる。
洗濯屋はありとあらゆる方法で、犯罪歴を消す。
 
そんなあるとき、一人の男が洗濯屋にやってきた。
男はテロ行為に手を染め、既に指名手配されている。
 
洗濯屋は男に費用の金額を提示した。
しかし、男はそんな莫大な金は持っていなかった。
 
依頼を断ろうとする洗濯屋に男はなんとしてでも、刑務所に行くのは避けたい、何とかしてほしいとすがる。
すると洗濯屋は格安のプランなら洗濯できると言った。
 
男は藁にもすがる思いで、そのプランでお願いした。
 
洗濯屋は了承し、そして、拳銃の引き金を引いた。
 
終わり。

■解説

洗濯屋は男の人生を終わらせることで、男の身を綺麗にした。
死んでしまえば、刑務所に行かなくて済むので、男の要望は叶っている。

 

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動画

簡易的な読み上げの動画になります。
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