■本編
男は暴力団の組員だった。
その組のおかげで男は色々と好き勝手やってきた。
だが、それも長くは続かなかった。
というより、そんな男のことを組が厄介に思ったのだ。
男は抗争の鉄砲玉に任命される。
「20年我慢してムショに入って出てくれば、お前は幹部だ」
「……やります!」
「よし、じゃあ、お前にはこれを渡しておく」
「……マシンガンですか?」
「ああ。これがあれば、組の一つくらい簡単につぶせるさ」
「いいんですか? ……あ、もしかして、ポンコツとか?」
「ちげーよ。組もお前には期待してるんだ。そのマシンガンは整備されたばっかりだよ」
「そうですか。じゃあ、行ってきます」
「頑張れよ」
男はマシンガン一つ持って、相手の組に乗り込んだ。
終わり。
■解説
男はマシンガン一つしか持たされていない。
しかも、整備されたばかりのものである。
つまり、弾が入っていない。
そんなマシンガンで相手の組に乗りこめばどうなるかは火を見るよりも明らかである。