■本編
男は孤児だった。
すぐに政府に引き取られ、暗殺者として育てられた。
政府の命令で、様々な人間を屠った。
他国の要人や、反政府の人間、女性や子供など関係なく、男は殺した。
指令の紙に書かれた人物であれば、誰だろうと殺す。
そう、育てられていた。
しかし、男に良心がないわけではなかった。
殺しの後は心が重く、眠れない日が続いた。
いや、男がゆっくりと眠れた日などない。
そして、ついに男の心に限界が訪れた。
体も衰え、一発で仕留められないことも多くなっている。
男は政府に引退したいと申し出た。
政府は男を説得しようとしたが、男の意思は固かった。
政府は折れて、男の引退を認めることにした。
最後に、1つだけ仕事をして欲しいと、政府は男に指令の紙を渡した。
男は指令の紙に書かれていた男を殺して、暗殺者人生に幕を下ろした。
そして、その日、男は初めて安らかな眠りについた。
終わり。
■解説
政府が最後に渡した紙には、暗殺者の男の名前が書かれていた。
男は自殺し、暗殺者人生を終わらせ、安らかな眠りについた。