本編
男はヘビースモーカーだった。
体に悪いとはわかっていたが、どうしても止めることができない。
何度か禁煙にチャレンジしてみたが、うまくはいかなかった。
そんなあるとき、不意に胸が苦しくなり、不安になって病院に行った。
検査の結果、大したことはなく、男は安堵する。
だが、医者からこのまま煙草を吸い続けると、5年もしないうちに肺がんになると忠告された。
男は今度こそ禁煙しようと頑張るが、ダメだった。
絶望する男は、ネットである商品を見つける。
それは煙草の代わりになる、禁煙パイポだ。
レビューには何人も、これで禁煙に成功することができたと書き込んでいる。
男は完全に信用はしていなかったが、もしかすると自分も禁煙できるかもしれないと考え、わずかな望みに賭けて、その商品を購入した。
煙草が吸いたくなったら、代わりにパイポを咥える。
ただ、それだけだったのだが、男はそれから煙草を1本も吸うことはなくなった。
そして3年後。
男は完全に禁煙に成功した。
しかし、その年の健康診断で、男の体から肺がんが発見された。
終わり。
■解説
禁煙パイポだからといって、健康に害はないとは書かれていない。
しかも煙草を吸っていた時は5年で肺がんになると言われていたのに、禁煙パイポにしてからは3年で肺がんになっている。
つまり、禁煙パイポは煙草よりも発がん性物質が含まれていたと言うことである。