意味が分かると怖い話 解説付き Part701~710

意味が分かると怖い話

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工作

ールを使って、一緒に模型を作るんだ。
 
ななみちゃんには格好いいところを見せたいから、お母さんにお願いして、すごい切れるハサミを買ってもらった。
このハサミのおかげで段ボールがスイスイ切れる。
ななみちゃんもすごいって言ってくれた。
 
よし、このままドンドン切っていくぞ。
 
って思ったのに、急に固くなった。
あれ? 全然切れないぞ?
 
僕は両手で思い切り、ハサミを握った。
 
そしたら、バツンってものすごい音がして切れた。
 
終わり。

■解説

よく切れるはずのハサミで、段ボールがそこまで切れないのはおかしい。
つまり、切ったのは、ななみちゃんの指だった。

 

心霊スポットで集合写真

高校最後の夏休み。
思い出作りとして、クラスの30人全員で心霊スポットに行くことにした。
もちろん、先生には内緒でだ。
 
正直、海とか、どこかに遊びに行くとかしたかったけど、そんなお金も時間もない。
 
よりによって肝試しって感じだけど、これはこれで思い出に残りそうだ。
 
クラス全員が集まった。
肝試しを開始する前に、クラスのみんなで記念撮影。
元々来てない人がいて、いなくなったと勘違いしたら困るし。
 
俺が撮影して、人数を数える。
うん。きっちり30人いる。
 
さて、肝試しを始めよう。
 
終わり。

■解説

クラスは全員で30人。
語り部が撮影したのなら、29人しか写ってないはず。
つまり、1人多いということになる。

許してほしい

6年前、私はある女性を殺害してしまった。
自首をして、服役して、出所した。
 
それで罪は償ったはずだ。
でも、その女性の婚約者だった男が、私のことを見つけて、ずっと嫌がらせをしてくる。
 
私は何度も、男に謝罪した。
この1年で300回以上。
 
もう許してほしい。
嫌がらせを止めてほしい。
 
何度も何度も男に謝って、嫌がらせを止めてほしいと懇願した。
でもダメだった。
 
押してダメなら引いてみる。
私は男に最後のお願いをしに行った。
 
その後、男からの嫌がらせは永遠に止まった。
 
終わり。

解説

語り部は嫌がらせをしていた男を殺害した。
そのため、男からの嫌がらせは止まったのである。

 

父親というものは娘に嫌われるものだ。
会社の同僚も同じらしい。
娘に酷いことを言われたことを愚痴っている。
 
なぜ娘に嫌われるかというと、女性というのは自分とは違う遺伝子を求めるものらしい。
娘は自分の遺伝子が入っているのだから、その理論でいうと嫌われるのは当然だ。
 
でもうちは違う。
娘は高校生になるのに、一度も嫌われたことはない。
 
なんでだろう?
嬉しいことだけど、なんか不思議だ。
 
終わり。

■解説

嫌われていないということは、語り部と娘は同じ遺伝子ではない可能性がある。
つまり、娘は本当の語り部の子供ではない。
もしかすると、妻が不倫してできた子供かもしれない。

 

子守唄

お母さんは私が3歳のころに生まれた妹に、夜9時になると、いつも子守唄を歌っている。
私はそろそろやめたら、と言うが一向に聞く耳を持ってくれない。
 
その子守唄は私も、お母さんによく歌ってもらっていたし、好きだった。
 
私も子供が生まれたら歌ってあげようと思っている。
 
でも、まあ、彼氏というか結婚するのが先なんだけど。
会社の同僚にはいい人いないし、結婚相談所にでも行ってみようかな。
 
こんなことなら、大学で頑張って彼氏を作っておくべきだった。
 
終わり。

■解説

語り部は会社に勤めているということは20歳以上である。
そして語り部よりも3歳下の妹は17歳以上のはず。
その妹に母親が子守唄を歌うのはおかしい。
つまり、妹は子供の頃に亡くなっていて、母親は未だにその子を想い、歌を歌っている。

 

手帳

私はスケジュール管理を未だに手帳でやっている。
 
今日も手帳に沿って30分刻みのスケジュールをこなしていく。
一日、何事もなく終了。
と思っていたが、最後に交番に行くと書いてある。
 
こんなスケジュール書いた覚えはないし、交番は朝に行った。
 
おかしいなと思っていたら、ハッと気づく。
 
これは俺の手帳じゃない。
今朝、同じ柄の手帳を拾って、交番に持って行ったとき、間違えて自分の方の手帳を渡してしまったようだ。
 
仕方ない。
帰りに交番に寄っていくとするか。
 
終わり。

■解説

語り部の手帳ではないのに、書いてあるスケジュール通りに行動したのに、何事もないのはおかしい。
一体、この手帳はなんなのだろうか。
とても不思議である。

 

EXIT

10階建てのビルの屋上で開催されているイベントに参加していた。
お店で出されている料理も、ビールも本当に美味しい。
 
外で食べたり飲んだりするのは最高だ。
お姉ちゃんが生きてたら、絶対一緒に参加してたと思う。
 
今度は誰か、友達と一緒に来よう。
 
急に寂しくなり、帰ろうかと思っていたら、お店の一軒から火災が発生した。
 
みんなが入り口の方へ逃げていく。
私も、と思ったが「そっちじゃないよ」という声がした。
 
振り返ると、お姉ちゃんがEXITと書いてあるドアを指さしている。
 
私は慌ててEXITの看板の方へ向かった。
 
終わり。

■解説

語り部の姉は死んでいるはずである。
そして、語り部はみんなとは逆方向に進んでいる。
つまり、出口とは「この世からの出口」であり、姉が語り部をあの世に引きずり込もうとしているのかもしれない。

 

スリッパ

私はちょっと掃除が苦手だ。
だから家の中ではスリッパは欠かせない。
 
裸足で歩こうものなら、足の裏が埃だらけになってしまう。
だから、私にとってスリッパは靴下よりも重要なのだ。
 
でも、ある日。
仕事から帰ってきて、靴からスリッパに履き替えると、中がぐっしょりと濡れていた。
 
会社に行くときに、水でもこぼしたっけな?
 
私はスリッパと、濡れた靴下を脱いで裸足でリビングに向かう。
 
足の裏を見ると、埃で黒くなってた。
 
やっぱりスリッパは欠かせないなぁ。
 
終わり。

■解説

仕事に向かう前に濡れたとしても、帰ってくる頃には乾いているはずである。
それに、スリッパが中まで濡れるほどであれば床も濡れていて、足の裏に埃はつかないはず。
一体、なぜスリッパは濡れていたのだろうか。

 

助けて

暑い夏の日。
俺はひとりで廃病院に肝試しに来ていた。
 
俺以外には誰もいない。
 
さっそく建物に入ろうとしたときだった。
急に中から女の声が聞こえる。
 
助けて
 
見上げると、3階の窓に人影があるのが見えた。
部屋に着くと、腹にナイフが刺さった男が蹲っている。
駆け寄ると、その人は気を失っていた。
 
刺した人間がまだいるのではないかと周りを見渡す。
すると、窓が割れているのに気づく。
犯人は外に逃げたのだろう。
 
俺はすぐに救急車を呼んだ。
 
終わり。

■解説

助けてという声は女で、3階にいたはずである。
窓から外に出たとは考えづらい。
つまり、男は女を突き落とした際に、女にナイフで刺されたのである。

 

永遠の愛を誓う

10年付き合った彼と結婚した。
とても真面目な彼のプロポーズの言葉は「永遠に君だけを愛す」というものだった。
 
そして、結婚してから5年。
彼はずっと私だけを愛し続けてくれた。
 
そんなある日。
彼が高校の頃の同窓会に参加するために出かけて行った。
 
次の日。
彼は自分で自分の命を絶った。
 
終わり。

■解説

彼は同窓会で、違う人を好きになりそうになった。
語り部だけを愛すという誓いを守るため、その相手を愛す前に自分で命を絶ったのである。

 

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