本編
お墓参りは家族全員ですることにしている。
まあ、当たり前といえば当たり前なのだが、今はお墓参りをする人自体が少なくなって来るらしい。
でも、俺は昔、おじいちゃん子だったこともあり、毎年、お墓参りはかかすことはなかった。
それは結婚し、子供が出来ても同じだ。
おじいちゃんに俺の子供たちを見せたいということもある。
子供たちはお墓参りがよくわかっていないようで、普段、来ない墓地にはしゃいでいる。
こういうのも何となくいいなと思う。
おじいちゃんに孫を見せている感じがするからだ。
そして、次の年。
もちろん、俺たちは家族全員で墓参りに来た。
「あなた。未来は車で寝ちゃったみたい」
「そっか、起こすのも可哀そうだし、今回はさっとお参りして帰ろうか」
「そうね」
そうして、俺たちは二人で手を合わせて車に戻った。
終わり。
■解説
最初は、語り部は子供「たち」と言っている。
ということは、子供は二人はいることになる。
しかし、次の年は未来という子供は車で寝ていて、語り部と妻の二人だけでお参りをしている。
家族全員で墓参りに来ているのに。
ということは、この一年で子供が亡くなっていることになる。