■本編
町外れにあるモーテルに男女の幽霊が出るという噂があった。
町の人たちは幽霊たちを恐れて、そのモーテルに泊まろうとしなかった。
しかし、ある旅行者のカップルが、その噂話を聞き、興味本位でモーテルに泊まることにした。
最初は幽霊なんか現れないとタカをくくっていたが、夜になると物音や不気味な声が聞こえるようになった。
それでも気のせいだと自分に言い聞かせ、なんとか一晩をやり過ごそうとする。
しかし、旅行者の元に幽霊が現れた。
そして、幽霊は、なぜ自分が幽霊になったかを語る。
それは自分たちも幽霊の噂を聞いて、この場所に泊まり、その幽霊によって導かれてしまったのだという。
その幽霊は今でもこの場所に泊まったことを後悔しているようだった。
旅行者はその幽霊を憐み、成仏できるように祈った。
すると、その想いが通じたのか、幽霊は成仏する。
その日以降、その幽霊がモーテルに現れることは二度となかったが、モーテルの噂話は消えることはなかった。
終わり。
■解説
なぜ、幽霊が成仏したのにモーテルに幽霊が出るという噂話が消えなかったのか。
それは、モーテルに幽霊が出るという部分に関しては変わらなかったからである。
つまり、今度は、そのモーテルに泊まった旅行者のカップルが幽霊に導かれて、幽霊となってしまったからである。