布団

意味が分かると怖い話

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■本編

男は不眠症だった。
仕事でストレスを抱えているわけでもなく、将来に不安があるわけでもない。
病院に行ってみるが、原因はわからず、ただ睡眠薬を貰うだけで終わってしまう。
 
男はとにかく、安らかに寝たいという思いだけがあった。
 
アロマや寝る前に温かいミルクを飲むなどもしてみたが意味がなかった。
枕や毛布、マットレスも変えてみたが、結果は変わらない。
 
そんなある日、男は古いリサイクルショップを訪れる。
珍しいことにそこには布団が売っていた。
 
中古とは思えないほど状態がよく、なによりその布団に心が惹かれてしまった。
 
さっそく、男は店主にその布団を売って欲しいとお願いした。
すると、奇妙なことに店主は、「絶対にこの布団を使わない」という約束がないと売れないと言い出した。
理由を聞いてみると、その布団を使うと、その人は必ず眠ってしまうのだという。
なので、鑑賞用としてしか売れないというのだ。
 
必ず眠ってしまう。
それは男がずっと求めていたことだ。
 
男は店主に嘘をついて、その布団を買った。
 
そして、その日の夜。
男はさっそく、その布団を使ってみた。
 
店主の言う通り、男は眠りにつき、もう二度と不眠症に悩むことはなかった。
 
終わり。

■解説

その布団は使った人間を永眠させてしまうものだった。
つまり、男はもう二度と目覚めることはなく、不眠症に悩むことはなくなったというわけである。

 

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