■本編
子供の頃、妙に怖いと思うものがあって、それを今見直してみると大したことなかったっていうのがあるよね。
コマーシャルとかリアル調なキャラクター絵とか。
俺にとって、紙芝居がそれだ。
子供が魔女に捕まって食べられそうになるという、よくある話。
その中で、魔女がニヤリと笑っている絵が本当に怖かった。
あまりにも怖くて、1時間くらいずっと泣き続けたらしい。
うちの親が倉庫にその紙芝居をしまい込んだことで、やっと泣き止んだと言っていた。
それで、この前、倉庫の掃除をやっていたら、その紙芝居が出てきた。
懐かしいと思いながらも、内心ドキドキしながら開けてみたんだ。
そしたらさ、笑っちゃうくらい全然大したことなかったんだよね。
逆に魔女のニヤリと笑っているのが可愛いとさえ思うほどだ。
そりゃ、魔女に捕まっている青年も苦笑いするよ。
食べられそうになってるのに、そんな顔してたら、笑っちゃうから。
なんだか、肩透かしだ。
これなら、怖い思い出のままにしておけばよかったなぁ。
終わり。
■解説
子供の頃に見たときは、魔女に捕まっているのは子供だったのに、今見ると青年に変わっている。
本当に怖いのは魔女の笑みではないのかもしれない。