■本編
俺は8年前から配送トラックの運転手をしている。
最近は物価高で不景気なせいか、人手がドンドンと減ってきている。
そのしわ寄せは全部、残った運転手が負担することになる。
そのせいで、このところ、ほとんど休めていない。
しかも夜通し走ることも少なくない。
今日も昼から出発して、深夜になった今も運転し続けている。
そんな状態だから、眠くもなってくる。
高速道路のような真っすぐな道は特に眠気を誘う。
ラジオなんかを大音量でかけてても、ダメだ。
どこかで仮眠を取りたいところだが、それだと時間に間に合わない。
このまま走り続けるしかない。
そんなことを考えていると、ふと、太陽の光が差し込んできた。
おっと、危ない。
今、完全に意識が飛んでいた。
だけど、なんか眠気がなくなった気がする。
太陽の光を浴びたからだろうか。
さてと、もうひと踏ん張りするぞ。
あれ?
それにしても、今日は随分と道が空いてるな。
俺しか走ってないぞ。
終わり。
■解説
語り部は、今は深夜と言っているのに、太陽の光が差し込んでくるのはおかしい。
語り部は居眠り運転をして、対向車線に飛び出した可能性が高い。
つまり、太陽の光ではなく、相手のトラックのライトの光だったことになる。
さらに突然、朝になっているのもおかしい。
語り部は事故により、即死してあの世に行ってしまったのかもしれない。