■本編
キャリーバックを考えた人は天才だと思う。
50キロもある荷物だって、こうしてスイスイ持ち歩けるんだからさ。
まあ、俺自身は旅行では物を持って行かないんだけど、彼女の方が物凄い量の荷物を持って行くんだよね。
「住むつもり?」ってくらい大量に。
で、その荷物を持つのが俺なんだから、たまったもんじゃないよ。
だから、本当にキャリーバックには感謝してる。
……ん?
電話だ。
さっき、チェックアウトしたホテルからか。
「もしもし?」
「お客様。部屋に大量のお荷物をお忘れですが」
「全部処分してください」
終わり。
■解説
語り部は旅行に荷物を持って行かないと言っている。
そして、チェックアウトした部屋には大量の荷物が残った状態である。
今、キャリーバックには彼女の死体が入っているのかもしれない。