懺悔室

意味が分かると怖い話

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■本編

教会の懺悔室で神父が待機していると一人の男が入って来た。
 
「実は私、殺人を犯しているんです」
「え?」
「なんというか、定期的に殺人衝動が起こってしまい、どうしようもなくなるんです」
「……」
「この衝動が起きるようになったのは、私がまだ15歳になるときのことでした」
「……」
「衝動が起きるのは大体、3年から5年の周期なのです」
「ということは……」
「はい。もう10人以上殺しています」
「……自首はしないんですか?」
「ええ。なぜなら、私はこれを罪だと思っていませんから」
「どういうことですか?」
「私が殺すのは罪を犯した者だけです。つまり、司法の代わり……いや、神の代わりに行っているのです」
「あの……一ついいですか?」
「なんでしょうか?」
「どうして、私にそんな話をしたんですか?」
「たまには聞く方ではなく、話す方をしてみたくなったんですよ」
 
終わり。

■解説

罪を告白したのは男ではなく神父の方。
つまり、神父は定期的に殺人を犯している。
そんな神父が男に罪を告白した。
そして、神父は殺人を罪に思っていなく、これからも続けていくだろうと考える。
この神父の告白を聞いた男は無事で帰れる可能性は限りなく低い。

 

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