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意味が分かると怖い話

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■本編

3ヶ月前、突然、兄貴が引きこもりになった。
今まではバリバリの仕事人間だったのに。
てっきり、仕事が好きなんだと思い込んでいた。
 
ただ、それは俺たち家族がそう思っていただけだったわけだ。
会社で相当なパワハラを受け、精神的に病み、医者に鬱だと診断されてしまったようだ。
 
あんなに社交的だった兄貴が、今ではまったく部屋から出ずに、顔を見せない。
飯も、母さんに部屋の前に置かせている。
 
何とか悩みを聞こうと、部屋の前から兄貴に話しかけるが、一向に返事はない。
 
そんなある日、兄貴からLINEが来た。
それはちょっとしたお願いが書いてあった。
あるゲームを買ってきて欲しいとのことだ。
 
それはどうやらネットでは買えないらしい。
俺は兄貴に頼まれた通り、そのゲームを買って部屋の前に置いた。
 
それからというもの、兄貴とLINEのやり取りをするようになった。
そのやり取りをする中で、兄貴の状況を聞くことができた。
 
兄貴はずっと無理をしながら、必死に仕事をしていたんだとわかる。
確かに、そんなにキツイなら精神も病むわけだ。
出張も多い職場だったようだし、辛かっただろう。
 
俺は母さんや父さんに、しばらく兄貴のことは放っておこうと説得した。
家族全員が、兄貴には休んでもらおうという意見で一致する。
 
これも兄貴が築いてきた信頼の賜物だろう。
そんなとき、突然、家の電話が鳴った。
 
それは警察からで、身元確認して欲しいとのことだった。
 
終わり。

■解説

警察から身元確認して欲しいということは、家族の誰かが遺体となって発見されたということである。
だが、この場には家族全員が揃っている。
では、一体、誰の遺体が見つかったのだろうか。
 
そして、語り部の兄は引きこもってから、一度も、姿はおろか声さえも家族に聞かせていない。
もしかすると、語り部の兄の部屋には、兄を殺した犯人が住み着いているのかもしれない。

 

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