■本編
最近、妙に視線を感じる。
なんか、いつでも見張られているような感じだ。
最初はストーカーかな? なんて思ったりもしたが、私なんかをストーカーするもの好きなんていないだろう。
でも、それを同僚に話したら、注意だけはしっかりした方がいいと言われた。
確かにその通りだ。
私は今まで面倒くさがってベランダの開けっぱなしだった鍵を始め、全部の窓の鍵をしっかり閉めるようにした。
それでも、やっぱり見張られている感じはなくならない。
警察に連絡しようかとも思ったけど、今のところ、まだ『そんな感じがする』だけなので、そんなことで警察に行っても門前払いにされるだろう。
でも、そんなある日。
家から帰ると、ベランダの外に覆面を被った男がいた。
私は今までのこの怒りが一気に噴き出し、気づいたらベランダに向かって走っていた。
鍵を開けてベランダに出ると、その男はここが2階なのにスルスルと壁を伝って逃げて行った。
悔しい反面、これではっきりと狙われていることがわかった。
警察に相談すると、見回りを強化してくれるらしい。
空き巣かもしれないとも言われて、今後も戸締りはしっかりとしてくださいと言われた。
家に侵入されなかっただけ、幸いだった。
まあ、確かにこのくらいのことじゃ、見回りを強化してくれるくらいが関の山だね。
色々、警察署で話をした後、家に帰った。
今日は疲れたから、シャワーを浴びて寝よう。
そう思って着替えをタンスから出そうとしたら、少し開いている。
あー、もしかしたら下着も盗まれたかもしれない。
最悪だ。
何か被害があったら連絡して欲しいと言われていたし、明日、もう一度警察に行こう。
そう考えて私は浴室へと向かった。
終わり。
■解説
語り部は『監視されている』感じと、『下着を盗まれたかもしれない』ということで、『家の中に侵入されている』と考えられる。
そして、覆面の男はベランダにいて、語り部は『鍵を開けて』ベランダに出ている。
つまり、覆面の男と家に侵入している犯人は別である。
もしかすると、侵入者はまだ家の中にいるかもしれない。