登山

意味が分かると怖い話

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■本編

俺は山登りが好きだ。
高校の時に登った山の、頂上からの景色に感動して登山にハマった。
 
大学に入ってからも登山するサークルに入って、色々な山に登った。
もちろん、サークル外でも一人で登山していたくらいだ。
友達からは大学にいる時間よりも山の中にいる時間の方が長いと揶揄われたものだ。
 
社会人になってからも登山の趣味は続き、休みを利用して山に登っている。
 
ただ、このご時世からなのか、あまり周りには登山が好きな人がおらず、結局一人で登っている。
 
そして、今年もお盆に長い休みを貰えたので山に登る計画を立てた。
親からはたまには山じゃなく実家に来いと言われているが、今はまだ登山を優先したい。
 
待ちに待った登山の日。
俺は順調に山を登っていく。
 
だが、不意に山の天気が荒れ、雨が降り出してきた。
俺は岩陰に入り雨をやり過ごす。
 
雨が止んだすきを見て、先へと進む。
だが、雨のせいで俺は足を滑られて、斜面を滑り落ちてしまった。
 
幸い、命に関わるような怪我はなかったが、足を怪我してしまったため動けなくなった。
 
なんとか救助を待つしかない。
 
結構、非常食を持ってきていたので、数日は餓死する心配はないだろう。
しかし、待っても救助が来ない。
 
親にはこの山に登るとは伝えてあるから、救助の連絡はしてくれるはずだ。
それから3日が過ぎた。
 
上空では何台かヘリが通っているのが見える。
俺は大声で手を振ってみるが、こっちに気づきそうにない。
 
俺は力を振り絞って、木でSOSを作る。
だが、それでも見つけてもらえなかった。
 
それから3週間が経った頃だ。
俺は偶然通りかかった登山者に見つけてもらえた。
 
すぐに山岳救助隊が呼ばれ、俺はようやく山を降り、親の元へ帰ることができたのだった。 
 
終わり。

■解説

語り部が山で遭難してから、発見されるまで1ヶ月近くは経っている。
そして、非常食は『数日分』しかない。
つまり、語り部は『死体』となって山を降り、親の元へと帰ったことになる。

 

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