人気の意味が分かると怖い話TOP10

人気の意味怖TOP10

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安全なマンション

今の世の中、個人情報というのはとても重要視される。

俺も以前、個人データが洩れて、ストーカー被害に遭ってかなり大変な思いをした。

顔も知らない人間に付きまとわれるというのは、本当に怖かった。

だから、セキュリティー面がしっかりとしたマンションを選んだんだ。

そのマンションはかなり徹底されていて、住人同士でさえも、個人的なことがわからないようにしてある。

住人同士が集まるなんてこともしないし、顔を合わせても雑談どころか挨拶もしない人が多い。
郵便物に関しても、しっかりとボックスには鍵がかかっているし、何が届いたかも、外からは絶対に見えないようにしてある。
それに、エレベーターでさえも、外からはどこに停まったかもわからないようにしてある。
つまり、その住人がどこの階に住んでいるかも、極力わからないように工夫しているというわけだ。
それに、このマンションには入っている人が少ないのか、エレベーターで一緒になることもほとんどない。

他の人からは、逆に怖いだの、仲がギクシャクしそうと嫌な顔をする人も多い。

けど、このマンションに来るってことは、俺と同じように、他の住人と関わりたくない人ということなのだから、これはこれでいいと思う。

実際、俺も、快適に暮らせている。

このマンションに来てから数ヶ月が経った頃のことだ。

俺は毎朝8時に、出勤ために8階からエレベーターに乗り、1階まで降りるのだが、5階から乗る女の人と一緒になるということが多くなった。

最初は挨拶もしなかったが、何回か顔を合わせることで、挨拶くらいはするようになっていた。

まあ、相手が若くて美人っていうのもあったんだけどね。

それからは、毎朝、彼女と顔を合わせることが少しだけ楽しみになっていた。
…挨拶以外は特に会話もしないのだけど。

あわよくば、帰りのときも一緒にならないかな、と期待したけれど、俺は帰宅の時間がかなりバラバラだったから、一緒になることはなかった。

そんなある日の水曜日。

俺の会社には未だに、ノー残業デーというのが残っていて、水曜日だけは早く帰れる。

いつもすぐに家に帰っていたが、その日は何となく、外食をしてから帰った。

マンションについて、郵便物を取ろうとボックスを開けるとそこには異常な光景が広がっていた。 ボックス内の物が黒焦げになっていたのだ。

すぐに警察と消防を呼んで、検証をしてもらったところ、俺宛に送られた郵便物に、時限式の小型の爆発物が入っていたらしい。

もし、外食せずにそのまま帰っていたら、確実に爆発に巻き込まれていただろう。

その爆発で死ぬことはなかっただろうが、下手をすれば火事になる可能性があったそうだ。

誰かに恨まれているのだろうかと悩みながら寝て、次の日のこと。

朝、エレベーターであの女の人に会った。

いつも通り、挨拶をした後、彼女はこう言った。

「昨日は大丈夫でした? 8階でボヤ騒ぎがあったんですよね?」

俺はすぐに引っ越す決意を固めた。

終わり。

■解説

女はいつも、「5階から乗る」ことと、「帰りは一度も一緒になったことはない」ことから、主人公がどこの階に住んでいるかがわからないはず。

(朝は1階のボタンしか押されていないから、主人公がどの階から乗ったかはわからない)

また「ボヤ騒ぎがあった」と言っているのに、「8階で」と言っていることから、警察や消防が来た時には、そこにはいなかったことがわかる。

それなのに、ボヤになるようなことがあったと知っているということは、彼女が郵便物を送ったことになる。

さらに、時限式というところから、水曜だけはノー残業デーで早く帰ることも知っていたということになる。

つまりは、その女は男が引っ越すきっかけとなったストーカーである可能性もある。

(女とエレベーターで会うようになったのは、男が引っ越してから数ヶ月後ということからも、女が『後から』マンションに来たということも考えられる)

 

タクシー

男はタクシーの運転手をしている。

あるとき、男は町で女性を乗せ、山奥まで運んで降ろした。

次の日、男は町で女性を乗せた。

昨日と同じ女性だった。

男は叫び声をあげた。

終わり。

■解説

2回目に乗ってきた女性は幽霊。

最初に「運んで」とあるので、女性を乗せた後殺害し、死体を処理するために山奥まで「運んで」埋めた(降ろした)ということになる。

 

地縛霊

学生ってさ、お金がないもんでしょ?

いくら親に仕送りしてもらってるって言っても、結構、生活がカツカツなんだよね。

まあ、バイトでもすれば、いいんだろうけど、やっぱ、面倒くさいし。

となれば、やることは一つ。

出費を削減することだ。

そこで思いついたのは、家賃が激安のところに引っ越すというもの。

で、偶然、ビックリするくらい安い所を見つけた。

前のところと比べて、2万も安いんだよ。

学生の身分からすると、月2万円浮くのは、かなり嬉しい。

だけどさ、そういうところって、あれなんだよね。

そう、事故物件。

 

俺が借りた部屋は、かなりヤバいらしくて、何人も亡くなってるらしい。

でもさ、幽霊なんて結局は気持ちの持ちようでしょ?

気にしなければいいんだからさ。

それに近くの人に聞いてみたんだけど、部屋に出るっていう幽霊が、住む人によって違うっていうんだ。

ある人は、髪の長い若い女っていてて、その後は、中年の男、その次は子供だってさ。

 

うーん。これはもう、嘘以外ないでしょ。

そんなにコロコロ変わるわけないじゃん。

ってことで、俺は気にせずに生活してたってわけ。

まあ、そりゃ、時々、変な音がしたり、物の場所が変わってたりしたけど、無視してたんだ。

別に物凄い害があるわけじゃないし。

 

でもさ、それが段々、無視できなくなってきたんだよ。

変な音も、眠れないくらいうるさくなってきたし、物が無くなったり、買った覚えのない物が出てきたり。

寝てるときに上から物が落ちてきたときは、正直、死ぬかと思ったね。

だから、あるとき、友達の知り合いに霊能力者がいるっていうから、格安で見て貰ったんだよね。

そしたら、やっぱり、地縛霊がいるんだって。

その人がいうには、なんか特殊な地縛霊らしくて、誰かを身代わりにするまで、その場に縛られて、成仏ができないらしい。

だから、この部屋に住んでる俺を、あっちに誘おうとしてるって話。

 

さすがに安い料金じゃ、除霊まではしてくれなかったけど、霊から身を守る方法は教えてもらった。

それをすれば、しばらくは大丈夫だから、その間に新しい部屋を探しなさい、だってさ。

でもさ、それをやれば大丈夫なら、引っ越す必要はないんじゃね?

とにかく、俺はその夜、さっそく、その方法をやってみることにする。

 

まずは、体を清めるってことで、体に塩を塗り込んでからシャワーで流す。

で、次に……って、あ、バスタオルねーや。

とりあえず、ハンドタオルでささっと拭いて、と。

次は部屋の中央に日本酒と盛り塩を置く。

最後に部屋を真っ暗にして、祈ればいい。

簡単だ。

だけど、テレビが付けっぱなしだった。

だからリモコンを探したんだけど、見当たらない。

ちょっと、イラっとして、テレビのコンセントを引き抜いてやった。

そしたらさ、いきなり、バチンって音がして、部屋の中が真っ暗になったんだよね。

多分、ブレーカーが落ちたんだと思う。

まあ、真っ暗にしなきゃならないからちょうどよかった。

で、幽霊に、手出しするなって祈ったんだ。

そしたらさ、ビックリするくらい止んだわけ。

変な音もしないし、物が無くなったりもしなくなった。

いや、ホント、快適。

もっと早くやればよかった。

 

……って、思ってたらさ。

再開したわけ。

今度はさ、ハッキリと姿も見せてくんの。

俺くらいの年の男。

はー、面倒くせえ。

また、あの除霊をやらないとなぁ。

 

終わり。

■解説

主人公の男は除霊をやる際に、濡れた(塩を含んだ)手で、コンセントを触った際に、感電死している。

部屋が真っ暗になったのは、意識が飛んだから。

また、一時的に幽霊が出なくなったのは、主人公の男をあの世に引き込んだ為、元々いた幽霊は成仏したから。

再度、出て来た幽霊の正体は、主人公の男の部屋に新たに契約した住人。

近所の人たちが言っていた、幽霊の目撃情報が違うのは、地縛霊が入れ替わっているためである。

 

てるてる坊主

6月は雨が多い。
 
ホントに雨は大嫌いだ。
外で遊べなくなるし、なんか体がベタベタするし、傘も嫌い。
だから早く、7月になってほしい。
 
でも6月でも晴れになって欲しい日はある。
明日はお父さんが珍しく遊園地に連れてってくれるって約束してくれた。
だから、絶対に明日は晴れになって欲しい。
 
とにかく、僕はクラスのみんなに、晴れになる方法を知らないかを聞いてまわった。
でも、みんな、そんなのは知らないって言われた。
 
どうしよう。
そう思って帰っていると、ふと、ある家が見えた。
 
その家は確か、お金持ちの3人家族が住んでるとか言っていた。
 
いいなぁ。
こんなにおっきな家に住めるなんて、すごいなぁ。
 
そう思って見ていると、僕は家の中にすごいものを見つけた。
 
おっきなてるてる坊主。
大きいのが2つと小さいのが1つ。
 
僕はそれを見て閃いた。
 
そっか。
てるてる坊主があった。
 
僕は帰ってさっそくたくさんのてるてる坊主を作った。
そのおかげで、次の日はちゃんと晴れた。
 
お父さんは約束通りに僕を遊園地に連れて行ってくれた。
すっごく楽しかった。
 
月曜日の学校の帰り道。
またそのお金持ちの家の前を通った。
 
てるてる坊主あるかな?
 
てるてる坊主があった部屋を見てみると、そこにはもうてるてる坊主はなかった。
 
もうしまっちゃったのか、と思ってたら、窓からおばあちゃんがこっちを見て、笑って手を振ってくれた。
僕はおばあちゃんに手を振ってから、家に帰った。
 
終わり。

■解説

語り部が見た大きなてるてる坊主は、てるてる坊主ではなく首つり自殺した、家族。
では、最後に見たおばあさんは、一体、何者だったのか。

 

お留守番

僕のお父さんとお母さんはいつも喧嘩している。
夜に起きると、いつもリビングで離婚だとかなんとか言い争いをしてる。
 
僕の名前を言ってるので、僕のせいなのかもしれない。
でも、お母さんもお父さんも、僕を怒ったりしない。
僕の何がダメなんだろう?
僕が頑張ればお父さんとお母さんは仲良くしてくれるの?
 
だから僕は勉強も運動も頑張ってる。
先生だって褒めてくれた。
 
僕が頑張ったから、お父さんとお母さんは仲良くしてくれるみたい。
今日はお父さんとお母さんが一緒にお出かけするんだって。
 
僕は、今日はお留守番しててほしいって言われたんだ。
ちょっと、寂しいけど、お父さんとお母さんが仲良くしてくれるなら我慢できるよ。
 
お父さんとお母さんは何度も、ちゃんとお留守番しててと言ってきた。
大丈夫。
僕だって、もう小学生になったんだ。
一人でお留守番だってできる。
 
お父さんとお母さんがお出かけした後、裕くんから電話が来た。
新しいゲームを買ってもらったから遊びに来ないかって。
 
最初は留守番しないといけないって言われたから、断ったんだけど、1時間だけで来ないかって言われて、行くことにした。
 
1時間くらいなら大丈夫だよね?
 
僕は裕くんの家に行って、1時間くらい遊んで家に帰ろうとした。
そしたら、家のまわりにたくさんの人が集まっていた。
 
家が火で燃えてた。
消防車がたくさん来て、水をかけてる。
 
そして、お母さんの声が聞こえてきた。
 
「あの中に子供がいるんです! 助けてください!」
 
お母さんが僕の心配をしてくれてる。
それがすっごく嬉しかった。
 
僕は大丈夫だよ。
 
お母さんに抱き着いた。
 
そしたらお母さんが僕を見て叫んだ。
 
「どうしてここにいるの!」
 
終わり。

■解説

語り部の両親は、いつも喧嘩している。
そして、語り部の名前を言っているということは、語り部のことが原因かと思われるが、語り部はいい子で、勉強も運動も頑張っている。
ということは、両親は離婚するのにどっちが語り部を引き取るかを喧嘩している可能性が高い。
なので、火事に巻き込まれたのを装って語り部を殺そうと画策していたのかもしれない。

 

金縛り

俺はよく金縛りになる。
別に霊感が強いとか、そう言うことじゃないと思う。
一回も、幽霊を見たこともないし、幽霊を感じたこともない。
 
だから、金縛りになっても怖いわけじゃない。
心霊現象じゃなく、単に脳の目が覚め、体が寝ている状態ってやつだろう。
 
最近、仕事で疲れているせいか、しょっちゅう金縛りになる。
だけど、俺には金縛りを解く方法があるのだ。
これをすると十中八九、金縛りが解ける。
 
それは首をコキッと鳴らすこと。
鳴らすとスーッと体が起きるのを感じるのだ。
 
そして、今日も金縛りになった。
これで4日連続だ。
解く方法を知っているからいいけど、面倒くさい。
 
少しイライラして、思い切り首を鳴らしてみた。
凄くいい音がして気持ちがいい。
 
これで金縛りが解けるはず……。
 
だけど、今回は全然解けない。
おかしいな。
ドンドン体が重くなる。
 
おかしいな。
こんなこと今までなかったのに。
 
もしかして今回のは心霊現象の方の金縛りか?
 
でも、なんか眠くなってきた。
もういいや。
このまま眠ってしまおう。
 
終わり。

■解説

語り部は金縛りを解くために首を鳴らしているが、これは非常に危険な行為である。
首を鳴らすと脊椎の血管が傷つき、血栓ができる可能性がある。
語り部は寝ながら首を鳴らすことで、脳卒中になってしまったのかもしれない。

 

神隠し

その村ではたびたび、神隠しが起こる。
神隠しにあったのは、皆、6歳の子供ばかりだった。
そして、神隠しは必ずご神木がある、『聖地』で起こるのだという。
 
なので、親たちはいつも子供たちに『聖地』には近づかないように言いつけている。
子供たちも親の言いつけを守り、聖地には近づくことはなかった。
 
ある年、6歳の誕生日を迎えた女の子がいた。
その女の子の親は、神隠しにあるかもしれないから、村の外れにある神社に行ってお参りに行ってお願いをしてきなさいと言う。
親の言う通り、女の子は神社に向った。
 
しかし、そのお願いをすることなく、女の子は神隠しにあってしまったのだった。
 
終わり

■解説

女の子は神社に向い、お願いをする前に神隠しにあっている。
神隠しが起こるのは必ず聖地であるはずなのに、なぜ、神社で起こったのか。
それは神隠しが人為的なものだという可能性が高い。
また、親も神社に一緒に行くのではなく、一人で行かせているのもおかしい。
普通、6歳で神隠しがあるということであれば、心配で目を離さないはずである。
つまり、神隠し自体が村の中で行われている、口減らしか生贄にされているということが考えられる。
聖地に入るなと子供たちに言っているのは、そこに口減らしをした子供たちの死体が埋まっているか、生贄を捧げる何かがいるのかもしれない。

 

誘拐事件

男は誘拐事件を企てた。
 
資産家の孫である男児を誘拐する。
身代金は1億円と決めていた。
だが、男は連絡する際に逆探知をされるのではないかと警戒する。
 
そこで、男は公衆電話からなら逆探知されても大丈夫だろうと考える。
苦労の末、公衆電話を見つけた男は、資産家の家に電話を掛け身代金を用意するように伝えた。
既に資産家の男は警察に連絡をしていて、電話には警察が出たことがわかる。
 
たとえ、警察が逆探知したところで、男には足がつかない。
そして、男には数年かけて練った、完璧な計画がある。
 
絶対に捕まらない自信があった。
 
男は身代金として1億を用意するように言い、資産家の男も用意すると即決した。
男は3時間後にまた連絡するからその時までに金を用意しろと言って電話を切り、足早にその場を立ち去る。
 
そして3時間後。
男は資産家の男に受け渡しの指示をするため、再び公衆電話へと向かったのだった。
 
終わり。

■解説

最近は公衆電話の数自体が少ない。
実際、男も公衆電話を探す際に苦労している。
つまり、この付近には公衆電話がかなり少ないと言える。
警察は、3時間後に公衆電話から連絡があると考え、近くにある全ての公衆電話に張り込みをさせていると考えられる。
男は逆探知を避けるために公衆電話を使ったことが、逆に男の足取りを特定されやすくなってしまった。
つまり、男は公衆電話で電話したところを、警察に捕まる可能性が高い。

 

通報

男はどちらかというと、人よりも正義感と責任感が強かった。
 
ある日の仕事の帰り道のことだった。
終電でギリギリ電車に乗れたことに安堵しつつ、疲れ切った体で家路へと急ぐ。
 
すると路地裏から小さな話声が聞こえてきた。
気になって覗いてみると、男が2人向かい合い、何かをやり取りしている。
目を凝らしてみると、白いものが入った袋と封筒を交換していた。
 
男はとっさに麻薬だと思った。
 
ヤバい現場だと思い、その場を後にしようと思ったが、突然、男が相手の男をナイフで刺した。
何度も何度も刺している。
 
刺された相手は確実に死んだということは、遠目に見ていた男にもわかった。
男はそそくさとその場を後にして、家で震えて過ごした。
 
だが、次の日。
ネットを調べてみても、その事件のことは載っていなかった。
 
まだ見つかっていない。
 
男は通報しようか迷った。
通報するべきだと思うが、もし、報復などされてしまってはたまらない。
 
男は数日間悩み抜き。
警察に通報することを決意した。
 
交番へ行き、警察官に見たことを伝える。

「おそらく麻薬の取引です。そしたら、相手の男がもう一方を刺し殺したんです」
「それって、2丁目の友谷ビルのところですか?」
「そうです。組織的な犯罪かもしれません」
「わかりました。では、あなたは一旦、ここで保護しますね。報復の恐れがありますから」
「はい! ありがとうございます! 助かります!」
 
次の日、この男が通報した事件はニュースとして、新聞の片隅に掲載された。
 
麻薬の売人を殺害して自首した男が、留置所で自殺。
 
終わり。

■解説

男が場所を言う前なのに、警官が場所を知っているのはおかしい。
つまり、麻薬の売人を殺したのは警察官ということである。
通報した男は罪をなすりつけられ、殺されてしまった。

 

速報

今年は久しぶりに、会社でお盆休みが取れそうだ。
土日を絡めて5連休になる。
 
今までずっと忙しくて休みなんて取れなかった。
だから、今年は目一杯、羽を伸ばそうと思う。
 
一人だと味気ないので、地元の友達に、久しぶりに会わないかと連絡した。
すると、みんなノリノリでOKしてくれた。
 
俺は地方から都会に出てきた方だから、お盆休みは地元の友達の方が俺のところへ来ることになった。
3人の友達が来るから、俺の部屋には4人が寝泊まりすることになる。
多少は狭い感じがするが、まあ、許容範囲内だろう。
どうせ、夜はあんまり寝ないだろうし、何日かは旅館に泊まることになっている。
 
すごく楽しみだ。
仕事も、休みの間に連絡が来ることがないように、完璧に仕上げておいた。
 
そして、待ちに待ったお盆休みの当日。
ボーっとテレビを見ながら、友達が来るのを待つ。
だが、なかなか予定の時間になっても来ない。
 
どうしたのかと思っていたら、スマホに連絡がきた。
それは友達からだった。
出てみると、友達は「事故った。ごめん。行けそうにない」と言っていた。
 
しきりに謝る友達に、俺は確かにすごく残念だったけど、仕方ないと言った。
 
「ホント、ごめんな。今度はお前がこっちに来るのを待ってるよ」
 
そう、友達が言ったので、「わかった。今度は俺がそっちに行くよ」と返した。
 
それにしても、一気にお盆休みの予定が無くなってしまった。
どうしようかな、と思っていると、テレビで速報が流れる。
 
「先ほど、高速道路で軽自動車とトラックが正面衝突しました。その事故により、軽自動車に乗っていた3人は即死しました」
 
凄惨な事故現場の映像。
場所はちょうど、友達が通る予定だった道路だ。
 
見覚えのある車に、つい友達を重ねてしまう。
死亡事故に巻き込まれなかっただけ、マシか。
そう思うことにした。
 
それにしても、お盆休みはどう過ごしたものか……。
 
終わり。

■解説

速報は、事故を起こした友達の映像だった。
つまり、友達は即死している。
なのに、語り部に電話をしてきたのはなんだったのか?
 
また、友達は「今度はお前がこっちに来るのを待ってるよ」と言っていて、語り部は「今度は俺がそっちに行くよ」と返している。
この後、語り部はあの世へ誘われ、逝ってしまうことになるかもしれない。

 

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