消防士

意味が分かると怖い話

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本編

ええ。続いている火事は同一犯の放火だと思いますよ。
 
警察にも言ったんですが、放火犯はかなり知識がありますね。
これは俺だけじゃなくて、同僚や先輩も同じ意見です。
 
どこにどういう風に火を付ければどのくらい燃えるのか計算してます。
 
だからこんなに放火が続いているのに死者が出てないのもそういうことだと思います。
 
中には放火犯は、この街に不必要なものを燃やしてるんじゃないかって言ってる人もいます。
放火されたのは廃墟で不良のたまり場になっている場所や、不正献金をしている会社、迷惑なバカッターの家とかですからね。

え?
いやいや。放火は放火ですよ。
死者が出てないからっていいわけではないです。
 
消防士の私から見れば迷惑でしかないですよ。
 
この放火のせいで最近はろくに寝てないんです。
非番の日でも駆り出されたりしますからね。
早くゆっくり寝られるようになりたいです。
 
いつ連絡が来るかわからない状態じゃ、気が休まりません。
どうせ、今夜も呼び出されますよ。
もう、2丁目で待機してようかな、なんて思っちゃいますよ。
ははははは。
 
とにかく、警察には早く犯人を捕まえて欲しいです。
放火犯なんて、この街には不要ですから。
 
次に放火するなら犯人にしてほしいです。
なんて、不謹慎ですね。
ここはカットでお願いします。
 
あ、そろそろ行かないといけないので。
それでは失礼します。
 
終わり。

■解説

インタビューに答えている語り部は、なぜ、次に2丁目が狙われているのを知っているのか。
放火犯は語り部である可能性が高い。

 

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