【意味が分かると怖い話】村八分

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■本編

山奥にある小さな農村。
村の人口は少ないが、それが返って村人の結束を高めている。
 
その村には様々な独特のルールがあり、村人はみんな、それに従って生きてきた。
村人たちはそれが当たり前だと信じ、それを守ることに何の疑問も持っていなかった。
 
しかし、そんな村にもネットの波が押し寄せる。
当たり前だと思っていたルールが、村独特のものだと若者を中心に知れ渡っていく。
 
そして、村から出ていく人間も出てくるようになった。
 
そんな状況に村長は焦り始める。
より厳しいルールを課して、村人たちを縛り始めた。
 
もし、ルールを破るような村人が出るようなら、村八分を行った。
 
この小さな村で村八分にされた人間は精神を病み、自ら命を絶つ者も少なくない。
それを見て、村人は恐怖し、みんな、村長の顔色を窺うようになっていく。
 
そんなとき、ある家族がこの村に引っ越してきた。
その家族は最初、周りに気を使っていたが、次第に村のルールを破るようになっていく。
 
そこで村長はその家族の村八分を決める。
 
まずはごみの収集場所を突然、変えるという嫌がらせをした。
 
家族は突然、ゴミの収集場所を変えられてしまったので、ごみを捨てられず困り果てる。
そして、色々と村人に聞いて回る。
そこで、家族は新しいごみの収集場所を見つけ、そこに捨てるようになった。
 
村長はそれを見て、またごみの収集場所を変えることにして、新しいごみ収集場所を村八分している家族以外の村人に知らせた。
 
次のごみ収集日。
村長は新しいごみ収集場所にごみを捨てに行った。
 
しかし、そこには先週、村長がごみを捨てた状態のままになっていた。
 
終わり。

■解説

村長がごみを捨てた状態のままということは、そこは「ごみ収集されていない」ということになる。
それは、村長が新しく決めたごみ収集場所が、収集場所として機能していないということになる。
つまり、今まで村八分をしていた村長が、逆に村人たちから村八分にされ始めたことをしめしている。

 

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