■本編
ダークウェブの中に、お取り寄せサイトというサイトがあった。
そのサイトはお金を積めば、なんでも取り寄せることができるのだという。
青年はそのサイトを5年前から使っていて、期間限定のお菓子や人気でなかなか手に入らないゲームなんていうくだらないものを遊び半分で取り寄せていた。
もちろん、普通の値段の数倍がかかるが、資産家である青年にとっては面白さや手に入るという快感の方が勝っていた。
ある時、青年はふと、「本当に何でも取り寄せることができるのか」ということが気になった。
試しに、ある有名な人物の「命」という依頼をしてみた。
すると数億という値段が返ってきた。
さすがにそんな金額を払うつもりはなく、キャンセルしたが、逆にお金さえ積めばどんなものでも取り寄せてくれるのではないかという怖さが伝わった。
なので、青年は危険なものを遊び半分で取り寄せすることはしないと決める。
そんな青年があるアイドルにハマってしまう。
とても人気なアイドルなので、ライブのチケットを手に入れるのもかなり苦労するくらいだ。
そこで青年は取り寄せサイトを使い、ライブがあれば、いつもチケットを取り寄せサイトから取り寄せてきた。
しかし、青年はいつしか、ライブだけでは満足できなくなっていった。
青年は、今度は取り寄せサイトで、そのアイドルの私物を取り寄せ始める。
かなりの金額が請求されたが、青年にとってはその金額でも安く感じていた。
青年はドンドンとそのアイドルにハマっていった。
そのアイドルの私物を手に入れていく。
そして青年は試しに「本人」を依頼してみた。
するといつもとは違い、「理由」を尋ねられた。
青年は「結婚したいから」と入力する。
かなりの高額を請求されたが、青年は全財産を投げ打って、取り寄せを依頼した。
数日後。
青年の元に、名前と印鑑が押された婚姻届け、結婚指輪、そして指が届いた。
終わり。
■解説
結婚指輪を嵌めるための薬指が届いた。
その指はアイドルのものの可能性が高い。