■本編
その少年は感受性がとても高く、幼いころから他の人が見えないものが見えると言って、周りを驚かせていた。
少年の話では、いわゆる幽霊や妖怪などがはっきりと見えるらしい。
今まで少年は見えることで、なにか危険なことに遭ったということはないが、やはり人に見えないものが見えるというのは、不気味だし、周りにも気味が悪いと言われ続けていた。
だが、少年が高校生になったころ、いわゆる心霊ブームが起こった。
何を見ても、心霊特集がやっていて、周りもそのブームに乗っかり心霊スポットに行くことも多かった。
心霊ブームというのもあり、少年は周りから持て囃された。
幽霊が見えることを羨ましがられ、みんなが危機として、幽霊がどんな姿かを聞いて来る。
今まで気味が悪いと言われていた少年にとって、それは新鮮で嬉しかった。
そんなある日。
少年は友達と、老婆が自殺したという家に、肝試しに行った。
入ってすぐに、少年は苦しそうな顔をする老婆の姿をはっきりと見た。
そのことを友達に告げると、友達は悲鳴を上げて逃げて行ってしまった。
少年は霊を見慣れているので、逃げるということはしなかったが、老婆がどこか悲しそうな表情をしていたことが気になった。
次の日。
少年たちが行った家は、少女が病気で死んだ家だと聞いた。
そこで少年はもう一度、その家に行ってみることにした。
するとそこには、青白い顔をした少女の霊が立っていた。
終わり。
■解説
少年は「感受性が高い」ということと、老婆を見た次の日に行くと、少女の霊に変わっていたことで、少年は幽霊が見えていたわけではなく、「思い込みの幻想」を見ていた可能性が高い。
今まで害がなかったことも、裏付けとなっている。