【洒落怖】こっくりさん

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■本編

私が学生の頃、こっくりさんっていうのが流行ったことがあったんだ。

今でも流行ってたりするのかな?

 

文字や記号を書いた紙の上に10円玉を置くやつ。

こっくりさんっていう霊を呼んで、質問に答えてもらうんだよね。

 

あの頃はなんであんなに流行ってたんだろう?

他にやることがなかったからかな。

とにかく、放課後になったら、一人は、どっかの教室で誰かが必ずこっくりさんをやってた、ってくらい流行っていたんだ。

 

もちろん私も、流行ってたっていうのと暇だったっていうのがあったから、友達のSとKを誘ってこっくりさんをやろうって話になった。

 

誰も入って来ないように、理科準備室に忍び込んでやったんだよね。

 

始めたころは妙にテンションが高かったのを覚えてる。

なんだろ、いけないことをするっていうドキドキ感だったのかな。

とにかく、3人でキャッキャと騒ぎながらこっくりさんをやったんだ。

 

3人「こっくりさん、こっくりさん、出てきてください。出てきたら、はいに行ってください」

 

確かこんな呪文だったと思う。

何回か、3人で繰り返してると、10円玉がはいに向かって行く。

 

当然、私は他の2人が動かしてるんだと思った。

もしかしたら、私も無意識にはいの方に力が入ってたのかもしれないけど。

だって、出てきてくれないと面白くないから。

 

それで、10円玉が「はい」に来たから、さっそく質問をすることにした。

まずは簡単なものから。

 

私「1+1は?」

 

答えの「2」に10円玉が向かう。

 

K「今日の天気は?」

「はれ」

 

2問の簡単な質問は無事クリア。

 

S「鎌倉幕府ができたのは何年?」

「1185」

 

3人で大笑いした。

 

私「うーん。7年早いね」

K「鎌倉幕府は『いいくに』だよ」

S「今回のこっくりさんは、おバカなのが来たみたいだね」

私「外すくらいが逆にリアルかも」

 

また大爆笑。

 

で、今度は女子らしく、やっぱり恋愛の方面に質問が移っていく。

最初は誰が誰を好きなのか、とか、誰と誰が付き合ってる、とか。

そしたら、いきなり、

 

K「(私の名前)の好きな人は?」

 

と言い出した。

 

「T・Y(さすがに名前は伏せておく)」

 

ゾッとした。

前に3人で好きな人を言い合うというのをやった。

そのとき2人には恥ずかしくて、違う人の名前を言っている。

私がT・Yくんを好きなのは、私しか知らないはず。

 

K「あらら。外れちゃったね」

私「そうだね」

K「やっぱり今回のこっくりさんは少し頼りないかも」

 

で、次に私がこっくりさんに尋ねる。

 

私「Kの好きな人は?」

 

こっくりさんの返答は、私がKから聞いていた人とは違う名前が示された。

今度はKが青い顔をする。

たぶん、Kも私と同じく、違う人の名前を言っていたんだろう。

 

K「なんか……外してばっかだね、このこっくりさん」

私「そ、そうだね」

 

それで私は理科準備室の中にある冷蔵庫に飲み物は入っているかを聞いた。

 

「はい」

 

私「なんの飲み物?」

 

すると次々と商品名が示されていく。

それで、Kが冷蔵庫のドアを開けた。

 

K「うそでしょ……」

 

全部当たっていた。

 

私「もう止めよう。なんか怖いよ」

K「そうだね」

 

それで私たちはこっくりさんに帰ってくださいとお願いした。

だけど……。

 

「いいえ」

 

何回言っても、

 

「いいえ」

 

私はもう泣きそうだった。

そしたら、Kがいきなりキレて

 

K「いいから、さっさと帰れ!」

 

そう言って紙を握りしめてビリビリに破いてしまった。

 

K「ま、これで帰るしかなくなったでしょ」

私「そうだね」

K「じゃあ、帰ろっか」

 

3人でそそくさと帰った。

帰るときは誰も話そうとしなかった。

 

次の日。

クラス中が大騒ぎになった。

 

Sが昨日から行方不明になったのだ。

もちろん、昨日の夜にSのお母さんから私のところに連絡があった。

それで、3人で帰ったところまでは話した。

どうやら、それから家に帰っていなかったらしい。

 

そして、私とKは先生たちに呼び出されて、色々と聞かれた。

もちろんこっくりさんのことも話した。

 

先生たちは誰も信じなかったけど、私の学校ではこっくりさんは禁止になった。

 

そのあとすぐ、どっかの学校でこっくりさんが原因でリンチ事件が起こったとかで、全国的にこっくりさんが禁止になったっていう話を聞いた。

 

Sは今でも見つかっていない。

禁止されなくても、私はもう二度とこっくりさんをやろうとは思わない。

 

終わり。

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