【意味が分かると怖い話】忘れられた監獄

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■本編

そこはとても小さな監獄だった。
辺鄙な場所にあり、環境は最悪で、夏は異常に暑く、冬は凍死者が出そうなほど寒い。
ここに入れられるだけで、十分罰になるのでは、と思うほどに劣悪だった。
 
現在、その監獄には32人の囚人が収監されている。
それは20年以上、変わっていない。
入って来る者もいなければ、出る者もいない。
この監獄は、忘れられた監獄と呼ばれることもあるほどだ。
 
もちろん、看守も代わることもなかった。
この監獄には看守が5人いるのだが、数十年ずっと同じメンバーだ。
そうなると、次第に看守達の規律も乱れてくる。
 
囚人への暴行やイジメは日常茶飯事。
中には危うく命を落としそうになった囚人さえも出てくる始末だ。
 
そんな中、4人の囚人がこの状況に耐えきれなくなり、脱獄の計画を練り始めた。
長い年月をかけて、入念に計画を立てていく。
 
そして、ついにその計画は実行に移される。
 
しかし、誰一人、逃亡に成功する者はいなかった。
 
そのことはすぐに国に報告された。
報告の内容はこうだ。
 
昨日の未明、脱獄を図ろうとした囚人が出た為、5人全員撃ち殺しました。
 
国は脱獄犯が出なかったことに安堵し、引き続き、気を引き締めて囚人を監視するようにと御達しを出した。
 
そして、その事件以降、この忘れられた監獄は楽園と呼ばれるようになった。
 
終わり。
 

■解説

脱獄を計画していたのは4人のはずなのに、撃ち殺されたのは5人となっている。
また、この事件以降に、この監獄が「楽園」と呼ばれるようになった。
ここから、実際に撃ち殺されたのは「5人の看守」であり、囚人が監獄を乗っ取ったことがわかる。
また、「逃亡に成功する者はいなかった」という点は、逃亡ではなく看守を襲って乗っ取ったので、逃亡する必要がなかったというわけである。
国からも忘れられるような監獄の為、この先も、この事件のことがバレる可能性は低い。

 

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