邪魔なヤツ

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本編

今日も満員電車で出勤だ。
毎日毎日、いつも混んでいる。

ギュウギュウに押し込まれるから、本当にイライラする。
しかも帰るのが遅くて、あまり寝れてない。
いつもギリギリまで寝てるから、電車には飛び込むように乗ってる。

乗り遅れるかどうかでハラハラするのと、走るから目が覚めるんだよ。
周りから迷惑だと思われるかもしれないけど、俺一人くらい飛び込み乗車しても大して影響はないだろう。

けど、最近電車に乗るとき、邪魔な奴がいる。
電車が来て、他の奴らが乗り込んでるのに、ドアの前でブツブツ言いながらずっと立っているだけだ。
電車に乗らずに見送っている。
意味がわからない。

そいつは飛び込み乗車をする俺にとっては邪魔でしかない。
いつもそいつを避けて電車に飛び込む。
そのせいで、一回、目の前でドアが閉まって乗り過ごしたこともある。
本当に消えてほしい。

そんなあるとき、俺は珍しく3分早く家を出ることができた。
走らなくても間に合うのだが、つい癖で走ってしまう。

階段を駆け上がると、これから電車が駅に入ってくるところだった。
今日はゆっくりと電車に乗れそうだ。

俺はいつも通り、ブツブツと言いながら立ってるやつの前に回り込む。
そしたら、今日に限ってそいつが前に進んできて、背中にぶつかって押された。

なんだ?
今日は乗車するのか?

終わり。

解説

まだ電車が到着していないのに前に出るのはおかしい。
ずっと立っている人間はいつも自殺しようとしていたのかもしれない。
その人間が前に出たということは、語り部も押されて線路に落ちる可能性が高い。