映画監督

意味が分かると怖い話

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本編

その映画監督はホラーの巨匠と言われていた。
特殊メイクや特殊な撮影技法を使い、残酷でグロテスクな作品を撮っていた。

当時はそれが斬新でリアルだと支持され、大人気だった。

だが、時代は進み、CGを使った作品が世に表れ始めると、その監督の作品は古臭いという人が増えていく。
その監督もCGを使って映画を撮ってみるものの、最先端の技術を活かしきれず、凡庸な作品になってしまう。

引退も考えるが、どうしても最後に一花咲かせたいと思い、人生最後の作品の撮影にとりかかる。
監督はこれまで自分が得てきた経験を全て捨て、一切の技術を使わないという原始的なコンセプトで作品を撮った。
その斬新な映画は大ヒットとなり、巨匠復活とみんなが称賛した。

しかし、一ヶ月もするとこの映画を流す映画館はなくなった。

数年後。
その監督は死ぬ間際でもあの作品を撮って後悔はないと胸を張って言ったのだった。

終わり。

■解説

監督が撮る映画のジャンルはホラーで、残酷とグロテスクを売りにしていた。
そして最後に撮った映画は、一切の技術を使っていない。
つまり、実際の人間に対して残虐でグロテスクなことをして、それを映像に収めたということになる。
その映画はすぐに放映禁止となり、映画を公開する映画館はなくなったのである。
数年後、その監督は死刑となるが、最後まで反省することはなかったということになる。