本編
最近はだいぶ涼しくなってきて、夏の終わりを感じる。
そんなことを友達と話していたら、今年最後の肝試しに行こうということになった。
俺たちは心霊スポットに行って、肝試しをするのが好きだ。
今年はあまり行けてなかったから、行くことにした。
森の近くの廃病院。
そこはやっぱり、雰囲気があってよかった。
一通り回った後、車に乗り込んで帰ろうとしたときだった。
Aがいきなり、病院に誰かいると言い出した。
見てみると、確かに人影があってこっちを見ているように感じた。
俺たちはすぐに車を走らせた。
この辺は普通の車はほとんど通らなく、時々、トラックが通るだけだ。
丁字路で一時停止をしていると、後ろの席から声がした。
「後ろからあいつが来てる! カーブミラーに写ってるぞ!」
俺は慌ててアクセルを踏み込んだ。
終わり。
■解説
カーブミラーには後ろは写らないはずである。
もしかするとその声は友達ではないのかもしれない。
その場合、急発進した語り部たちは事故に遭う可能性が高い。