意味が分かると怖い話 解説付き Part421~430

意味が分かると怖い話

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タイムマシン

俺が中学生のときまでは、うちはなんてこともない普通の家庭だった。
今考えれば、あの普通の時間が幸せだったんだろう。
 
そして、俺が中学を卒業するとき、母親が男と駆け落ちしてしまった。
親父はそれがショックだったのか、その後すぐに体を壊し、病気で亡くなった。
 
それからの俺の人生は散々だった。
高校を中退し、その日暮らしのような生活。
 
なんともみじめな人生だ。
 
そんなとき、ある募集が目に入った。
 
「タイムマシンの被験者募集」
 
それはかなりの高額な報酬だった。
どうやら、人間で試すのは初らしく、下手をすれば帰って来れない、もしくは何か体調の変化があるかもしれない。
そういうわけで、かなりの高額らしい。
 
確かに、その報酬額は俺にとって魅力的だったが、それよりも俺の心を動かしたのが、『過去に戻れる』ことだった。
 
どのくらい戻るかは被験者の希望を叶えてくれるらしい。
 
俺はすぐにその募集に飛びついた。
天涯孤独だと話したら、すぐに採用された。
 
そして、実験当日。
俺が希望したのは30年前だ。
 
そう。
母親と、駆け落ちした男が出会ったと言っていた時間だ。
 
実験はあっけなく成功した。
同じ町なのに、全然見たことのない風景。
 
それもそのはずで、30年前と言えば、俺が生まれる前だ。
 
俺は母親の実家に張り込みした。
 
そして、ついにあの男が現れた。
俺は母親と、あの男が出会ったその日のうちに、あの男の殺害を決意した。
 
というより、最初からそうするつもりだった。
 
俺はこの時代にいる人間ではない。
だから、現行犯で捕まらなければ逃げられる。
 
俺は準備して、男の家へと向かう。
 
この男さえいなければ、俺の家族はずっと幸せにくらせていたはずだ。
 
俺はその憎しみを込めて、男を刺した。
何度も何度も刺した。
 
男が絶命した時だった。
 
フッと、俺の目の前が暗闇に包まれ、意識がなくなった。
 
終わり。

■解説

語り部が刺殺したのは、本当の自分の父親。
つまり、母親は不倫、もしくは妊娠後に別の男と結婚していた。
本当の父親を殺したことで、語り部はこの世に存在しなくなったというわけである。

 

IQ

少年は怠け者で、努力を嫌うタイプだ。
勉強も運動も頑張らないため、テストや体育の成績は下から数えた方が早い。
 
なので、周りのクラスメイトたちからもバカにされることが多かった。
 
そんなとき、学校でIQを図るテストが行われた。
なんと、少年はそのIQテストで130という高得点をたたき出す。
 
それは少年に多大な自信を植え付けた。
 
それからの少年の口癖は「俺はIQ130で頭がいいから!」になった。
 
終わり。

■解説

別にIQが高いからと言って頭がいいとは限らない。
それが証拠に少年はずっとテストの点数も悪かった。
だが、IQが高いことを知った少年はこの先も努力をしないまま進んでいくことになる。
この少年の将来は暗いものになる可能性が高い。

 

サークルの合宿

夏休みにサーフィンサークルの合宿があった。
1週間、サーフィンをしまくるという、サーファーにとって天国のような時間だ。
 
幸いなことに、合宿の間はずっと晴れていて、3日目なんかは今年の最高気温にまでなった。
 
昼はサーフィンを楽しみ、夜は気心が知れたやつらとどんちゃん騒ぎ。
 
けど、そんな楽しい時間なんてあっという間に終わってしまう。
 
また来年もやろうと思いながら家に入った途端、外からザーッと雨が降る音が聞こえる。
 
そういえば服を干していたことを思い出す。
 
干していた服の中のビンテージ物のTシャツが目に入る。
 
このTシャツを着ていけばよかった。
ここは日当たりがいいから、絶対、乾いてたよと思いながら、服を取り込んだ。
 
終わり。

■解説

真夏で、日当たりのいい場所に1週間も服を干ししていた語り部。
ビンテージ物のTシャツは高確率で日焼けしているはずである。

 

いってきます

その家族は高層マンションの上層に住んでいた。
家族は仲が良く、どこに行くにも一緒だった。

「それじゃ、お父さんとお母さんはいってくるから、お留守番できるか?」
「うん! 大丈夫!」
「そっか。それじゃ、安心だな」
「でも、私もおじいちゃんに会いたかったなぁ」
「……それはもう少ししてからだ」
「うん、わかった」
「もう少ししたら、おばあちゃんが来るから、おばあちゃんの言うこと、しっかり聞くのよ」
「わかった!」
「じゃあ、いってくるな」
「いってらっしゃい!」
 
そして2人は窓から飛び降りた。
 
終わり。

■解説

両親は子供を残して、飛び降り自殺をした。

 

イジメ

僕は中学に入ってから、孝兵、勝巳、義明の3人にずっとイジメられていた。
 
ある日、3人が僕を全裸にして土下座させた後、頭を踏んだ。
 
そこで僕の何かが切れた。
僕は近くにあったバッドで3人を殴り殺した。
 
その後のことはよく覚えていない。
気が付いたら、僕は施設に入れられていて、数年したら退院になった。
 
それから少し経って、僕の元に三島加奈という女の子が訪ねてきた。
 
どこかで聞いたことのあるような名前だが、顔を見ても全然思い出せない。
 
とりあえず、家に上げてお茶を飲みながら話を聞いた。
だけど、話の途中で僕の意識は途切れてしまった。
 
目を覚ますと、僕の目の前に孝兵、勝巳、義明の3人がいる。
殺したはずなのに、どうして?
 
逃げられない。
僕は永遠にこの3人にイジメられ続けることを悟った。
 
終わり。

■解説

三島加奈は孝兵の妹で、無罪になった語り部に復讐しに来た。
つまり、語り部は殺され、死んだ世界で、3人にイジメられ続けることになる。

 

文化祭のお化け屋敷

私たちの今年の文化祭の出し物はお化け屋敷だ。
 
どうせなら、本格的なお化け屋敷にしようということになり、色々と準備を進めていく。
 
そんな中、クラスメイトのおじさんが、昔、お化け屋敷のアトラクションを監修する仕事をしていたということで、その人に監修してもらえることになった。
 
そのおじさんは、学生の出し物でも手を抜かず、お化け屋敷のルールに則って、次々と脅かす仕掛けを指示してくれる。
お化け役もしっかりとおじさんに怖がらせ方を教わっていた。
 
そして文化祭当日。
 
私たちのクラスのお化け屋敷は大盛況だった。
 
来てくれた人の感想で多かったのが、最後、足を掴まれたのが本当に怖かったらしい。
 
終わり。

■解説

お化け屋敷で、お化け役はお客に触ってはいけない。
当然、おじさんはそのルールを守らせたはず。
では、最後に客の足を掴んだのは一体、何者だったのだろうか。

 

邪魔者

男は息子と非常に仲が悪く、顔を合わせれば喧嘩ばかりしていた。
 
そんな状態なので、男は家では安らげず、イライラしている。
 
ある日、男は息子との喧嘩が殴り合いにまで発展した。
 
そこで男は我慢の限界が来た。
 
息子を殺そう。
 
そう決意すると同時に、完璧な死体隠ぺいの方法が思いつく。
 
男はそのことを息子以外の家族に伝え、しっかりと準備を整えた。
 
そして、それは実行される。
 
それ以降、家族内では諍いがなくなり、平穏な暮らしが戻ってきた。
 
今まで迷惑をかけた分、息子はしっかりと家族サービスをしている。
 
終わり。

■解説

家族に殺されたのは男の方。
家族にとって邪魔だったのは男の方だった。

 

面識

男は逸れた女の子を必死に探していた。
 
一緒にショッピングモールに来ていたのに、少し目を離した隙にいなくなってしまったのだ。
女の子はまだ6歳。
 
男は焦ってショッピングモール内を探す。
 
通りすがりの客に、一人で遊んでいる女の子の写真を見せるためにスマホを出す。
 
「この子、見ませんでしたか? 娘なんです!」
 
5人ほどに聞いてみたが、4人は空振りに終わる。
だが、その中の1人が、見たというのだ。
 
その人が言っていた場所に行ってみると、部屋の隅っこで座り込んでいる女のを発見する。
 
男はホッと胸を撫で下ろした。
 
後日、女の子は死体で見つかる。
そして、男は警察に捕まってしまう。
 
警察の話では犯人と女の子には面識がなかったのだという。
 
終わり。

■解説

男が女の子のことを「娘」と言っているのが嘘である。
女の子は犯人から逃げていたが、目撃者が男の言うことを信じてしまい、場所を教えてしまったことで、犯人に見つかってしまった。

 

お地蔵さん

女の子が母親と道を歩いていると、三体のお地蔵さんが並んでいるのを見つけた。
 
「あ、お母さん。お地蔵さんだ」
「そうね」
「ねえ、どうしてこのお地蔵さんは赤ちゃんがしてるのを、つけてるの?」
「この赤いよだれかけはね、赤ちゃんの供養のためなのよ」
「赤ちゃんの?」
「そう。この辺はね、昔は洪水が起こったとき、神様を鎮めるために赤ちゃんを生贄にしたらしいわ。それで、生贄にした赤ちゃんの分、こうやってお地蔵さんを建てたんだって」
「……怖いね」
「赤ちゃんが静かに寝られるように、お参りしていこっか」
「うん!」
 
女の子は母親と一緒にお地蔵さんに手を合わせた。
 
それから、女の子はここを通るたびに手を合わせるようになった。
 
そんなある日。
女の子は学校で、先生のお手伝いをしたことで、飴を貰った。
 
家族みんなで食べようと思い、喜んで持って帰ろうとする女の子。
だが、そこでハッと気が付いた。
 
家族は父親、母親、兄、妹がいる。
そう考えると1つ足りない。
 
そこで女は帰るときにお地蔵さんのところに寄った。
お地蔵さんの前に1つずつ飴を置く。
数もぴったりだった。
 
帰って、そのことを母親に話すと、母親は女の子を褒めてくれた。
 
女の子は嬉しくなり、また今度、お供え物を持って行こうと思うのだった。
 
終わり。

■解説

最初、お地蔵さんの数は三体である。
だが、飴を貰って帰る際、女の子は家族分として1つ足りない状態である。
家族は、女の子、両親、兄、妹の5人となる。
1つ足りないということは、飴は「4つ」貰ったことになる。
しかし、女の子は1つずつお地蔵さんの前に置いて、数がピッタリと言っている。
つまり、お地蔵さんが一体増えていることになる。
このお地蔵さんは生贄にされた赤ん坊がいたときに作られるものだと母親は説明している。
ということは、最近、赤ん坊が生贄に捧げられた可能性が高い。

 

焼き肉屋にて

友達に凄い美味い焼き肉屋があると教えてもらったので、行くことにした。
 
確かに全ての肉が物凄く美味い。
脂ものってるし、凄く柔らかい。
 
ただ、値段がちょっと張るのが難点だが、この美味しさなら仕方ないだろう。
 
そんな美味しい肉の中で、一番気に入った肉があった。
凄く薄くて、サッと火にあぶるだけで食べれるものだったが、今まで食べたことのないような味だった。
 
店の人にどこの部分かと尋ねてみると、「おとがい」という部位らしい。
 
聞いたことのない部位だ。
今度、他のお店でも見つけたら注文してみよう。
 
終わり。

■解説

「おとがい」は下あごの先端のことで、人にしかない部位である。
つまり、その肉は人のものだと考えられる。

 

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