本編
ある大学の教授が学会で論文を発表した。
それはその分野では画期的な発見で、大いに注目されていた。
教授は学会で発表をする際に、涙ながらにこう語った。
「この論文はある優秀な助手に手伝ってもらい、5年以上をかけて完成させることができました。残念ながら、その助手は論文が完成する前に事故で亡くなってしまいました。なので、この論文は私と彼の二人で書き上げたものだと思っていただきたいです」
その場にいた学会の傍聴席から拍手が溢れ、教授は頭を深々と下げる。
そして、多少突っかかりながらも、教授は無事に論文の発表を終えた。
引き上げようとした教授に対して、会場からいくつかの簡単な質問が上がった。
だが、教授はその質問に何一つ、答えることができなかった。
終わり。
■解説
5年以上研究し、論文をまとめていたはずなのに、簡単な質問答えられないのはおかしい。
さらに、この論文は助手と一緒に研究していたが、その助手は事故で亡くなっている。
この論文は画期的な発見だということも考えると、教授はこの論文を横取りするため、助手を殺した可能性が考えられる。