近所迷惑

意味が分かると怖い話

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本編

前に住んでいたアパートは人間関係のせいで引っ越すことになった。
だから、今回はほとんど住人がいないようなところを選ぼうと思ったのだ。
駅から遠く、すごく古いアパートだとしても、家賃がかなり安い。
そして、現在は1つの部屋しか埋まっていないこと、新しく住人も入って来ないと不動産会社の人が言っていたので、すぐに契約した。
そして、さらに部屋の場所も端にしてもらったので、ほとんど住人とも顔を合わせない。
 
それで、最初は快適に過ごせていた。
 
住人として顔を合わせるのは2階に住んでる大学生の女と、同じくらいの年の陽キャの男だ。
 
顔を合わせると言っても、家を出るときにすれ違うくらいのもの。
別に声をかけるわけでもなく、せいぜい会釈する程度だ。
前の家のこともあるので、これくらいでいい。
 
だけど、引っ越してから1週間くらい経った頃だった。
2階の方から騒がしい音がするようになる。
 
深夜になると騒ぎ始めるのだ。
声はあんまりよく聞こえないけど、男っぽいから多分、陽キャの方だろう。
 
本当に腹が立つ。
せっかく引っ越したのに、これか、と。
 
俺は何度も大家さんに苦情を入れたが全く改善されない。
 
その頃から、女の方が俺を睨むようになった。
多分、大家さんから苦情がいったのだろうか。
 
けど、張本人の方の男の方はケロッとしている。
ふざけんな。お前の方が反省しろよ。
 
俺は男の方を見ると睨みつけるようになった。
女から睨まれて、男を睨むという、なんか変な状況だ。
 
それから1ヶ月が経った頃だった。
アパートの前に警察が来て、男の方が捕まっていた。
 
どうやら、男の方は女のストーカーだったらしい。
 
時々、ストーカーと顔を合わせていたと考えると、ちょっと怖い。
 
だが、これで静かになるだろうと思い、俺は喜んだ。
でも、それは俺のぬか喜びに終わる。
 
今も深夜になると2階から騒がしい声が聞こえる。
正直、俺は引っ越しを考えている。
 
終わり。

■解説

まず、語り部がアパートに入る際に、『1組』しかいないと不動産の人が言っている。
そして、男は女のストーカーであることから、一緒に住んでいるわけではない。
つまり、男は住人ではないということになる。
では、深夜に騒いでいるのは何者なのか?
 
また、どうしてそのアパートは人が入らず、新しく人が入って来ないのか。
家賃がかなりの格安と考えると、そのアパートは事故物件なのかもしれない。

 

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