通勤定期

意味が分かると怖い話

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本編

朝、駅の改札を通ろうと思ってポケットに手を入れたら、定期券が見当たらなかった。
何度も探してみたけど、やっぱり見つからない。

仕方ない。
今日は切符を買うしかない。
会社も遅刻してしまうし。

ただ、それよりも定期を落としたことが痛い。
まだ買ったばかりなのに。

いったい、どこで落としたんだろうか。
全然見当がつかない。

とはいえ、買わないわけにはいかない。

とりあえず、帰りは切符を買って、明日から定期券を買って使うことにする。

そして次の日。
定期券を買おうとしていたら、駅員に声をかけられた。

「これ、あなたのですよね? 駅の構内に落ちてましたよ」

そう言って駅員が見せてくれたのは確かに俺の定期券だった。

よかった。
まだ買う前で。

俺は駅員にお礼を言って、定期券を受け取る。

さっそく、定期券を使って入場しようと思っていたら、機械に止められた。

そっか。
定期券は駅の中に落ちてたから、出たことになってないのか。
それなのに入ろうとしたから、止められたんだな。

俺は窓口に行って、駅員に理由を話して処理をしてもらった後、無事に駅内に入ることができた。

終わり。

■解説

定期券は駅内に落ちていて、『駅から出ていない』ことになっている。
では、語り部は『定期券を落とした日』は、どうやって駅を出たのだろうか?