本編
年末に、久しぶりに実家に帰ったら、家の大掃除を手伝わされる羽目になった。
面倒くさいと思ったが、なかなか帰れないし、たまには親孝行もいいかと思い、手伝うことにした。
久しぶりの実家は本当に懐かしい。
押し入れを整理していたら、ついつい出てきた漫画を読みふけってしまう。
そんなとき、奥の方から古いアルバムが出てきた。
開いてみるとかなり古い写真が貼ってある。
父さんと母さんがまだ若い。
結婚する前のものだろうか。
そして、結婚式の写真も貼ってあった。
それから数ページをめくっていくと、赤ちゃんの写真が出てきた。
たぶん、俺だ。
子供が生まれて嬉しかったんだろう。
やたらと写真が多い。
自分が赤ちゃんの頃の写真は何だか気恥ずかしい。
それでも眺めていると、あることに気付く。
よく見ると俺じゃない赤ちゃんが写っている。
俺に凄い似ているが、違う。
額のところに痣がある。
近所の子供だろうか。
でも、それにしては似すぎている。
だから、母さんにそれとなく聞いてみた。
すると、母さんが苦笑いして教えてくれた。
俺はどうやら双子だったらしく、弟の方は死産だったらしい。
そうか。
俺には弟がいたのか。
それを聞いてから、もし、弟が生きていたらどうなってたんだろうと考えるようになった。
まあ、そんなことを考えても意味はないんだが。
終わり。
■解説
死産は妊娠12週以降の死児の出産である。
つまりは生きて生まれてきていない。
だが、アルバムには『赤ちゃん』として写っているのはおかしい。
一体、アルバムに写った赤ちゃんは何者なのだろうか。

